日本のすがた・かたち

2018年8月7日
ジャズ&花火

「サマータイム」を聴きながら若い頃と建築について回想していました。

60年も前、ハリーべラフォンテの「バナナボート」がヒットしていた頃、ジャズに出会いました。鈴木章治の「鈴懸の道」、シルオースチンの「サマータイム」、「バラの刺青」、オスカーピーターソンやロバートアイラーのフリージャズと共に、よく新宿のジャズバーで聴いていたことを思い出します。
その後もジャズとの縁は続き、今に至っては仕事場のBGMの殆どがジャズとなっています。

数多くい中の一曲と問われると、シルオースチンの「サマータイム」と答えています。
この曲には数々の思い出がついて回っていて、自分の人生の喜怒哀楽が織り込まれているように思えることです。また哀調の旋律が私の好みということもあり、何時聴いても過ごしてきた時がそこに蘇ってきます。

熱海・水晶殿ジャズライブに招待を受け、久し振りに生ライブを聴くことができました。
市内にあるジャズクラブのピアノトリオとサックス奏者の出演でした。
「サマータイム」、「スピリチュアル ユニティ」、「スピリッツ リジョイス」、「セービングオールマイ ラブ フォー ユー」、「人生のメリーゴーランド」など好みの曲ばかりでした。

ジャズはピアノやサックスだけでも聞けますが、ベースとドラムスが加わると、俄然生きもののような様相を呈してきます。
この夜はドラムスが良く、二時間余、堪能しました。
最後の「チュニジアの夜」が演奏されると、綺麗な熱海の夜景に花火が打ちあがり、この演出の良さも相まって、改めてステージである水晶殿の存在を思いました。

熱海駅の高台にある「水晶殿」は岡田茂吉翁の設計で戦後造られた建築です。
この熱海随一の名建築は茂吉翁の、「多くの人々に美しい生活をしてもらいたい」との願いで造営されたものです。
その願いの通り、300人ほどを容れたホールは品の良い美しい香りに包まれていました。

優れた建築を造るには、施主、設計者、施工者がいずれも優れていることが必要です。三位一体が醸し出す旋律に似て、「和」を尊ぶジャズも建築を造ることも同じだと花火を観ながら思い、先年、建築家として、この水晶殿の改修設計監理の任に就いたことを誇りに思っていました。

 

ライブを催して頂いた皆さんに深謝九拝。

 

「小柄でネ…」
〽 浴衣姿が好みだけれど それに笑顔じゃ 目がタレル

 

 

 


2018年8月7日