Sのプロジェクト

2014年1月30日
仏師をめざして

あけましておめでとうございます…
とのご挨拶にはかなりの時間が過ぎてしまいましたが、
本年もSのプロジェクト推進に尽力して参ります。
皆様どうぞ宜しくお願い致します。

今回は以前にも紹介されましたが、ひとりの女性職人さんの近況取報告です。
お名前は、森田彩乃(もりたあやの)さん。「仏師※」を志す若い職人さんです。(※仏像をつくる職人さんの意)

高校時代より石の粘土を用いた人形をプライベートで創作されていたそうで、
美大では版画を専攻しながらも、卒業制作では石の人形を手がけられたそうです。

卒業後はアートではなく職人としての彫刻家を志すこととなりました。
様々なお知り合い、職人さんとお話をされているうちに、いつしか「木が持つエネルギー」に惹かれるようになったそうです。
以来「『木』で立体をつくりたい」そう思われるようになり、その後現在のお師匠様の下へたどり着かれたそうです。

次の4月でちょうど3年になるとのことですが、
実はこの半年間、ひとつのことにチャレンジされてきました。
それが、この記事内にご紹介している聖観音(しょうかんのん)です。

昨年(2013年)8月よりスタートし、以降毎日仕事を終えた20時から24時まで、時には徹夜も重ねながら、制作を進められたそうです。
そして、2014年の年明けにとうとう完成を迎えました。

ご自身で一番気に入っている部分はどこでしょうか?と伺ったところ、「口」とのお返事を頂きました。
「自然に手が動き、そのかたちになりました。」

森田さんの素朴で朗らかな人柄をそれとなくイメージさせる、やさしくなごやかな微笑です。
自然とそのかたちになるというのは、おそらくそういうことなのでしょう。

また、一番苦労されたところは、「粗彫り」だったとのこと。
角の木の状態から探り探り削り仏姿を見出していく作業に必要な繊細さと大胆さは、僕には想像も及ばない世界に思えます。


最後に「今後目指しているものは?」という質問をしてみました。
森田さんはちょっと悩まれてしまって、そういう質問ってすぐに応えられるものじゃないよねと、みんなで笑ったのですが、
僕はその悩まれている姿がとても良かったなと感じました。

先ほどの「口」のくだりではないですが、
技術はもちろんのベースとしてありながら、
自らの精神性がそのまま手がける仏像に反映される「何か」があるようです。
森田さんは確実に、それを捉えられている。
果てのない自問自答の海みたいなもの、そこを泳いでいく覚悟を予感されている。

いまはとにかく修行がしたいと、森田さんは力強くおっしゃってました。

いつかSのプロジェクトでご一緒する時が来るような…
そんな予感がしてなりません。

今日も、そして明日も、
森田さんはただひたすらに木と向き合い、毎日変化していく自らと向き合い、
まっすぐなこころで鑿を持ち続けています。
そういう人もまたいるのです。
僕はたくさんの勇気をもらいました。

それでは、
またご紹介できる日を楽しみに待ちましょう。

 

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追伸  

森田彩乃さんの取材は太田代表の事務所で行われました。森田さんは毎年、お盆と正月に代表に習作を見て頂くため三島を訪れます。

今回の聖観音像は「とても品が良い」と代表は言っていました。

Sのプロジェクトの造営計画では、若手の職人さんたちが活躍する場を設けることにしています。

森田さんが活躍する日を楽しみにしたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 


2014年1月30日