Sのプロジェクト

2013年12月31日
語録


image.jpeg広報の石川です。

2013年、最後の記事です。
今回は以前ご紹介したYAMAGIWAさんとの照明開発プロジェクトについて、もう少し詳しく触れていきます。
 


 

 プロジェクト会議は、「茶の湯のステージ」の設計思想をまずはメンバー全員で共有するところからスタートしました。

照明が置かれることになるその空間で、人はどのような精神性と行動を持つことになるのかをまずは理解しなければなりません。しかもそれは体験を通して得た強い実感であることが重要です。

太田代表の提案で、会議形式で茶の湯に関する歴史をはじめとする基本的な知識を習得したのち、実際に茶室の見学や茶会への参加を重ねていくこととなりました。
現在は基礎知識の習得を一旦終えて、箱根・強羅への茶室見学などを計画している段階です。

 

今回は会議の中でメンバー達がたくさんの気づきと発見を得た「語録」をいくつかご紹介したいと思います。
 

太田新之介語録

◆ 「西洋建築の美が『トータル』で達成されるのに対して、日本建築の美は『ハーモニー』にある。西洋建築の一部分は空間全体の中でしか生きないが、ハーモニーとはそれを構成する一つひとつを取り出しても芸術になっている上に、それが集まることで想像を超えるものに変化する」

◆ 「建築にとっての照明が果たす役割もまた、ハーモニーの発想で捉えることができる。『照度』は文明の指標ではあっても文化の基準ではあり得ない。そんなに明るくなくとも、自然な光は美しく効果的である」

◆ 「たとえば『畳の光』とも言えるものがある。障子を透過した自然光が畳に差して拡散したものがそれだ。同じように、禅寺の庭に白砂を敷くのは光を増長させる効果を狙ったものだ」

◆ 「茶の湯のあかりを考える上で大切なことは、『茶の湯』と『茶道』の違いをわかることだ。この違いがわからなければSのプロジェクトでのあかりの開発は不可能である」

◆ 「日本の文化を大別すると、『古神道』『日本仏教』『皇室』に行き着く。それらを総合的に体現しているのが『茶の湯』だ。茶の湯は日本文化のエッセンスと言ってよい。」

◆ 「この計画から生み出されたあかりは、世界に通用する普遍性を帯びるだろう。なぜならば、茶の湯のあかりは縄文時代から続く人と光の善き関係を今日に受け継ぐものと言えるからだ。あかりは人々にとっての希望。もう一度、その光の中に身を委ねてみたいとは思わないか」

 

如何だったでしょうか。
建築家・太田新之介が構想する「茶の湯のステージ」において、照明計画が非常に重要な位置付けをになっていることがお分かりいただけたかと思います。

 

HP-1008-4.jpg語録は引き続き、順次ご紹介して参ります。
今回は、ここまで。

さて、以下は石川の私信です。

書き終わって時計に目をやると、
2013年も残すところあと数時間。

樵隠会の立ち上げがあったこの年は、自身の身の回りの諸事も含め、大きなターニングポイントとなりました。
ほとんどは苦しかった。でも、その中にも喜びや充実がありました。
大きな大きな人の縁の広がりと系譜みたいなものが、僕を日々支えてくれていると感じます。僕はそれを、自らのしごとに、出会う人に、ずっとずっと先まで繋がるように、フィードバックしていきたいと思います。

HP-130731.jpg「恩返し」だけじゃなくて「恩送り」も。

そんなくだりをどこかで読みました。
今後も忘れることのない節目の年として、2013年の記憶を大切にしていきたいと思います。

それではみなさま、よいお年を。

そして来たる2014年。
Sのプロジェクトが、応援してくださるみなさんとともに、大きく飛躍する年となりますように。

 

(写真  「禅のあかり」、「水晶殿のあかり」などを開発した、YAMAGIWA開発チーム10人による会議風景)

 

 


2013年12月31日