■縄文人渡航

縄文人（倭人）は朝鮮や中国ばかりではなく、遠くインド、スリランカにも渡航し、生活していた形跡があります。縄文土器が世界各地で発掘されていることから窺えます。

約６千～７千年前、北欧のバルチック海沿岸に「リトリナ海文化」という狩猟採集文化が発生しましたが、この遺跡から発掘された土器が日本の初期縄文土器「隆線紋土器」に酷似していることから、縄文文化は遠くヨーロッパにも伝播していたと考えられています。

中国の長江(揚子江)最頂部の金沙江からインダスなどアジア全般に住み着いた形跡もあり、今後、黄河文明より数段古い長江文明は日本原人が渡航して開いた可能性も出てきました。

2500年前に現インド・ネパールに渡り、釈迦を導いた日本人がいたという言い伝えも荒唐無稽とはいい切れませんし、日本仏教の興隆を見ると頷ける気がします。また新約聖書に登場する東方の三博士ももしかすると、です。

■文化の伝播

文化の伝播は一方通行ではありません。九州産の黒曜石が韓国の釜山で発見、伊豆七島の神津島産の黒曜石が茨城県の縄文遺跡から発掘されたりしたことから、広範囲に交易していた可能性が大で、青森県の今津遺跡からは中国の周の時代の土器が発見され、韓国からは縄文土器が続々と発見されている事実をみると、縄文人は想像以上の規模で遠隔地に渡っていたと考えられます。

日本は中国や朝鮮から基調文化を学んだといわれますが、それは一部の者が流している説で、日本人は劣っていたと思わせる意図が隠れています。
文化の交流や伝播は同時進行で、しかも同じ様な文化レベルか相手が優れていてこそ成し得るものです。

■弥生の渡来人

戦後、1950（昭和25）年までに、中国大陸など海外から引き揚げてきた人の数は、およそ600万人。日本国内の産業は疲弊し、農村も荒廃し、増える人口や食糧難などの国内問題から、南米大陸に大量移住したように、弥生時代に大陸から渡来者が増え、九州や日本海沿岸に住み着いたことが想像できます。

■飛騨の口碑から

口碑は、紀元前100年頃に九州西岸に渡来人が住み着き、原住民を殺し奪略し、強姦し、人を食っていると伝わり、その侵略者を討伐するために、飛騨天孫族の皇統ヒルメムチ（天照大神）が孫のニニギノミコト（瓊々杵尊）を総大将として軍隊を派遣した事績を「天孫降臨」というとしています。

■古代史は謎の花盛り

日本古代史の解明に手を染めている人が信じられないほど多くいます。ネットを見ただけでその数と説の多さに驚かされます。それほど面白いのかも知れませんが。

分かることは『古事記』、『日本書記』で古代史を考えている人は、信用度が低いことです。根拠はあっても神話を史実として認められないためです。

他方、『出雲風土記』を始めとする各地に残る「風土記」などは役立つ資料と認識されているようです。

飛騨の口碑はすべてとはいいませんが、現在の私には信じるに足る唯一の資料です。　

今はもっぱら記紀と風土記を、口碑に照らし合わせることをしています。

画像：　「日本列島で世界地図を作ると」　　　（知人提供）　

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