日本のすがた・かたち

2011年7月27日
日本被爆列島

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コンクリートの主要材料のセメントには下水汚泥の処理焼却灰が入っています。
セメントは石灰石のほか、粘土、ケイ石などが原料ですが、汚泥は粘土の代用品として入っています。
その重量比で汚泥の割合は1パーセント未満です。
4月30日に福島県が実施した調査から、高濃度のセシウムが検出されました。
同県の中央に位置する郡山市と近隣の須賀川市など4市町の約9万世帯の下水を処理している「県中浄化センター」からです。
汚泥、1キロあたり2万6400ベクレル、汚泥を溶融炉で燃やしてできるスラグから33万4000ベクレルが検出されました。
 
事故前に処理されたスラグの値は246ベクレルで、単純計算で約1400倍。汚泥に関するデータはありませんが、大気中や地表の放射性物質が混じる雨水も一緒に処理水として流れ込み、その影響とみられています。
同センターでは、1日で80トンの汚泥が発生。そのうちの70トンは溶融処理で2トンのスラグとなり、残る10トンが住友大阪セメント(東京)の栃木工場(栃木県佐野市)に搬送されていました。スラグは道路の砂利などに使われるが、事故後は出荷されていなかったといいます。
一方で栃木工場はセシウムの検出後、稼働していない。事故発生後から稼働停止までに使用した汚泥は928トンあり、現在、セメントの出荷先を調査中とのことです。(参考 東京新聞5月10日特報部記事)
気になるのは、放射能が半減するのが約30年のセシウム137の影響です。
セメント1キロあたりのセシウムは250ベクレル程度とみられますが、通常のセメントの放射性物質は40ベクレルとされていて、その6倍以上の数値です。
セメントは住宅の基礎造りや建築資材にも使われ、現在私が工事を監理している現場で使用の恐れがないわけではありません。
 
セメントに混入される放射能汚染汚泥は今、社会問題となっている牛肉の汚染エサの「稲わら」と同じことです。
汚染前の約600倍の高濃度のセシウムが、人体にどのように作用するのか事例がないので判断できませんが、これは50年とか100年とかの子孫に関わる重大な問題です。
またこれはこれに止まらず、新米や他の農作物の食糧から、人体被爆、美しい山河への汚染にまで及ぶことは必至です。
現政府を非難することは簡単ですが、原発を作ったのは日本国民自身です。
今、全国の原発がこのような問題を抱えています。
保障や賠償などは大事ですが、対処方法に過ぎず根本的な解決とはなりません。
自然の理から遠ざかり過ぎた私たちの暮らしが、天罰を受けるときが来たように思います。
今、自分に何ができるか。
それは、子孫に禍根が少しでも残らないようにするため、汚染された建設材料で建築を造らないことだけのようです。
今回の大災害を受けて、政治がいかに大事なものであるかが思い知らされました。信頼できない電力会社と学者と政府の情報隠ぺい工作も功を奏さず、既に汚染が全国に広がっていることが分かってきました。この後各地の原発に事故が起きることがあれば、列島に人が住めなくなる可能性もゼロとはいえません。
早まることはしませんが、これから政治を改めさせる行動を起こそうと思っています。
(写真 7月の田んぼ)


2011年7月27日