日本のすがた・かたち

2011年7月25日
アマテラスー8 太陽神

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天照大神は架空の人物で太陽神というのが定説です。
7世紀に書かれた『古事記』や『日本書紀』で、天皇家は太陽神の子孫であり、そのため天皇支配には正当性があるとしました。
『記紀』に出てくる神代のストーリは、史実を題材にしていながら、実権を握った氏族に都合のよいように神話として仕立てています。
その改編は、「天皇家の祖先である天照大神の地位を高め、天皇の日本支配を正当化することだった」とされてきましたが、『記紀』の記述の中で天照大神の登場する場面を拾い読みしてみると、どうもそうではないことに気づかされます。
『古事記』の中で、天照大神は次のように出てきます。
● 父のイザナギが左目を洗った時に天照大神、右目を洗った時に月読命、鼻を洗った時に生まれたのがスサノオだった。
● 三人の貴子を得たと、父イザナギがいった。
● 父イザナギに天照大神は高天原を治めよといわれた。
● 天照大神は、弟のスサノオを疑って軍装を整えた。
● 天照大神の吐く息の中から三人の姫が生まれた。
● 天照大神は、スサノオの乱暴を恐れて岩屋に隠れた。
● 天照大神は、自分が隠れて高天原が暗くなったのに、皆が楽しそうに笑っている。それを不思議に思った。
● 天照大神が岩屋からそっと覗いたところを、引き出されて『二度と隠れないで下さい』といわれた。
● 高皇産霊命・天照大神の命で、神々が集まった。
● 天照大神は、孫のニニギ命に『この豊葦原水穂国、あなたが治める国』といった。
これらの記述が天照大神の地位を高めているとは思えません。
古代史学も戦後に大きく変わり、政治思想の影響を受けたようです。
飛騨の口碑を伝えた山本健造氏は、「『記・紀』は天照大神を讃えていない」といっています。
『記紀』編さんの目的のひとつは「天照大神の矮小化」のようです。
アマテラスの実像に迫ることは、現代の日本のすがた・かたちを考えることと同根のように思います。
2千余年も続いている君主国天皇制の不可思議な謎に直結しています。
イギリスは建国400年、アメリカは240年、中国は60年、世界最古の共和国サンマリノは約1千年です。
その民族の精神性は、継続され育まれてきた知的特質となって顕われてきます。
私は優れた先人がつくりあげてきた精神列島に暮らしています。
その列島は震災大国です。この国の動向が地球上の精神標準となるような気がしています。
アマテラスがずっと生きているクニだからです。
(写真  伊雑宮 楠の巨木)


2011年7月25日