日本のすがた・かたち

2010年2月2日
能楽堂ライブ・「十方彩雲」-Ⅲ

                                                                                                                                                                                       
岩笛の澄みわたりける音に聴くは いきとしいけるものの夢かな
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突如、結びのカミ(KNOB)が貴人口から現われ、舞台中央に座して、地球の記憶が秘められた縄文の岩笛をふく。
岩笛は太古の人々がカミを呼ぶために吹いていたという。
「石笛は心魂を揺るがすような神々しい響きを持っている」、と三島由紀夫は述べている。
能で吹かれる能管は石笛を真似て作られた楽器であるというが、石笛も能管も、他の楽器では及ばない2万2500ヘルツの高周波を出す。
                                                                                                                                                                   
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私はいつもこの岩笛の響きわたる音で覚醒する。
 
KNOBは結びのカミとして「古事記」の中から祝詞(いわいことば)をあげる。
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      
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祝詞
天地の初発の時 高天原に成りませる神の名は 天御中主神 
次に高御産巣日神 次に神産巣日神 この三柱の神は並独神成り坐し
て 身を隠したまひき
ディジュリドゥはオーストラリアアボリジニの楽器。その歴史は5万年ともいう。
霊妙な音を奏でる結びのカミの力により、この世(館内)に彩雲をたなびかせる。
 
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四人のカミは音曲でこの世と和し、暫し留まる。
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やがて、「音霊」(望月太喜之丞・鼓)を残し、三人のカミは去ってゆく。
鼓の音はアメノウズメと思しき歌舞の精(松千代)を導く歌の精(風間哉子)を招く。
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歌の精は切戸口から出て地謡座に立った。
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結のちから
目に見えないものを見える現象として形づくる力
1.宇宙のビッグバンあり。
2.結の力(波動)が生じる。
3.6種類のクオーク(波動)が中間子(ムスビノチカラ)によって結ばれると素粒子(波動)
  になる。
4.素粒子同志が結ばれて原子(物質)となる。
5.生物には遺伝子(DNA)があり、人間は31億個のDNAをもつ、それは4つの塩基で
  構成される。
6.4つの塩基が無数に組み合わされると様々な生きものができ、高度な組み合わせによりでき
  たものが人間。
産巣日神(ムスビノカミ)
素粒子の陽子、中性子という二つがムスビの力で核になり核と電子が結ばれ原子になり原子同志が結ばれて分子となり、宇宙に無数の星ができた。
素粒子は波動であるが、ムスビの力によりモノとカタチが生じる(すがた・かたち)。
古代、日本人はこの事実を知っていたふしがある。
ムスビの力は焚きあげたご飯を「おむすび」というかたちにするような力。
「かたち」あるものにはこの不思議な力が存在する。
(企画メモより)
(2009・11・29 MOA美術館能楽堂  slapshot:星野英介)


2010年2月2日