日本のすがた・かたち

2010年1月26日
能楽堂ライブ・「十方彩雲」-Ⅱ

                                                                                                                                                                                       
静けさはカミ降臨の験なれ 共に在るかの音の響きに
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能楽堂の静けさは轟く音を待っていた。
龍神に稲妻文の法被姿の「雷(いかずち)のカミ」(小林太郎)の登場で館内は一変する。
太鼓の音は雷鳴にも似て、この世のツミ・ケガレを祓い、雷聲は「大いなるもの」に歌を奉じる。
和讃
雷の聲なる音を響かせて 天地の間(はざま)清め参らん

雷のカミのひたすら振る撥は、聴き入る私の鼓動に呼応していた。
和太鼓は太古から日本人の心の音だったと思えた。
祭りに欠かせない最たる楽器は、「風のカミ」(岡山守治・倍音、口琴)と
「音霊」(望月太喜之丞・鼓)を呼ぶ。
                                                                                                                                                                   
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その脳髄に響く聲は、人々の曲事(まがごと)を払い、鎮める。
風のカミ(岡山) 
和讃
吹き荒れしこの世の風は曲事(まがごと)を 払い鎮める神の験ぞ

「音霊」(望月太喜之丞)は、綾なる鼓を奏で、
音(波動)がいきとし生けるものの根源であることを静かに知らしめる。
音霊(望月) 
和讃
この音は宇宙(そら)なる母の生まし音 神と仏の声と聴かまし

                                                                                                                                                              
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風のカミと言霊は、結びのカミ(KNOB)の出現を促す。
やがて結びのカミが貴人口から突如として登場する。
(続く)
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能楽堂ライブは3部構成(初座、幕間、後座)としている。
茶の湯にいう「茶事」の構成に倣っている。
初座
1.大いなるものを招くの儀
2.雷のカミが現れ、太鼓を打つ

  風のカミは人びとの曲事(まがごと)を払い、鎮める
  音霊は人びとを生あることの喜びでつつむ
3.風のカミと音霊が現れる
4.結びのカミが現れ、祝詞をあげる

  結びの力により、この世(館内)に彩雲をたなびかせる
(構成メモより)
(2009・11・29 MOA美術館能楽堂  slapshot:星野英介)
                                                       
                                                                                                


2010年1月26日