日本のすがた・かたち
2008年7月30日
直き思い
昔より
遥か昔の昔より
続くは花の直き心根
日本人に支持される心持ちに直(なお)というものがあります。
ケガレなきこころ、素直で真っ直ぐな思い、というものです。よく名前に「直」の字を採る所以はここにあります。世界でも稀なものの考え方をする日本人の自然観がよく現れています。これは太古から自然の理の中で暮らしてきた人たちの基本的な行動規範と考えられます。
自然の恵みがもたらす山や海から食べ物を得て、季節の運行や自然現象の中に身を置くには、どうしても直(なお)なる心根をもつ必要があったのでしょう。自然の中に暮らすには嘘や偽りは通用しません。通用するのは人間同士の駆け引きにおいてです。
私は、日本人にいちばん沁みついている精神(こころ)はこれではないかと思っています。直きこころ(精神)は自然と向き合うのではなく、自然の中で生かされている、というものの考え方が生み出した思いで、先人が永々と伝えてきた心根ではないでしょうか。そして花です。「花」は世阿弥のいう「秘すれば花」、芸術性という意味です。物事を情感で捉え、美しいものが人間の品性を高めるとした日本人の精神の現れです。
その精神(こころ)。その作法(かた)。それを磨いていく…。
これこそが瑞穂の国の美(うま)し思いだと思っています。
私は今、日本人が宗教という教えや導きからではなく、自然の事象、気候風土から生みだされ、育んできた直なる心根の気高さに思いを巡らせています。
2008年7月30日