Sのプロジェクト

2018年9月18日
充満している

以前から、その地に立ち、その建物に入り、その文物を観て、その人と会うと、何故か心を奪われて行くことを経験しています。
何故そうなるのか漠然としていました。

圧倒的な自然の景観、自然を人工的に創り上げた創造の景観、建築が醸し出す品格、文物に内在する作者の魂、本能的に好ましく思われる人物・・・。
何故そう思うのか。

 

先日、久し振りに箱根強羅の「神仙郷」を訪ねる機会がありました。
小雨の中、苔庭を巡りました。

既にモミジは、紅に装う支度を初めていました。
初訪庭から40数年間の歳月が、走馬燈のように思い起されました。

この庭を連れ立って歩いた思い出の人たちの顔が浮かびました。
その折の爽やかな緊張感も・・・。

やはりこの美しさの漂う緊張感こそが、この名園の名園たる所以だと、改めて思うに至りました。
造営主の美しい想念はこの空間に充ち満ちているのだと。

 

現在、「三島御寮」造営計画のスタディ模型を作りつつ、露地の作庭計画を進めています。
茶の庭には用と美が求められ、わけても茶事を催すことのできる外部空間の役割が重要視されます。
茶の湯は外内部共に濃密で品格の高い美しい空間を必要としています。
全ては「美しい生活」をするために。

神仙郷庭園は造営主岡田茂吉翁の崇高な気が充満していることを実感します。

私は果たして「三島御寮」造営計画を進めるのに私心はないのか、充満する気を創り得るのか。

箱根の苔むす庭を巡りながら、今一度、我が身に問いかけていました。

 

写真:9月、強羅の苔庭にて

下:「三島御寮」造営計画・露地(案)

 

 


2018年9月18日