日本のすがた・かたち

2016年2月13日
自信をもって

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この五月末に行われる「伊勢志摩サミット」のため、伊勢神宮が脚光を浴びているようです。

平成25年の式年遷都の熱気が冷め、参拝者が25年1420万人、27年840万人で、ピーク時の四割減になっていたところでしたが、また増えてきたとのことです。

 

この数年で我が国を訪れる外国人観光客の数が異常に増え、「爆買」などという新語まで出来ました。現在では文化遺産の観光や買物ではなく、それこそ田舎の何気ない日本の生活風景や民宿に泊まるなどの観光ルートが盛況のようです。

 なぜ今、日本人の生活や風習などに外国人の関心が高くなっているのか不思議に思われますが、日本には他の民族にない特筆する文化があるからと思われます。

 

列島の気候風土と自然美、島国ゆえに育まれてきた好奇心と宗教観、ものづくりに対する姿勢と品質。それらが結晶している日本建築や美術工芸、風習、礼儀作法、茶の湯などです。

 多分、外国人が驚くはずの文化と文明の蓄積が、縄文時代からの日本に、日本人にあり、それを目の当たりに観る人たちは、日本の国民性に驚嘆するのだと思います。

 

私は日本建築について考えていますが、3万年前から今日まで木の建築が変貌を遂げながらも本質は変わっていないことは驚異的なことといえます。

 我が国の木の建築は、他民族の侵略により隷属することなく、同じ言語を使用し、人を育て技法を継承してきたため、1万年もの間の木造文化の蓄積を成してきています。ちなみに中国では民族の文化は継承されず、戦後70年の蓄積しかないといっても過言ではありません。

 

昨今のような数の外国人が日本観光に訪れ、またリピーターが多くなっていることで、日本人自身がその理由を考えるようになってきました。

先の大戦に負けたことにより、また外国や日本嫌いの日本人により、この70年は負い目の歳月だったといえます。

しかし、なぜ外国人がこれほど日本に関心を寄せるのかの理由を考えてみることができれば、これからの国や人々の暮らしや生き方に、日本的なものがお手本となることが分かると思います。

それは私たちが先祖から受け継いできたものですので、そのまま創意工夫をこらし、次代に伝えていけばいいもので、他国や他民族に押し付けるようなものではありませんが、ひとついえることは、日本なるものの素晴らしさや、先人の暮らし方に、またその蓄積に自信を持ってよいということです。

 

私は木の建築を造りながら、日本人でいることの誇りをいつも感じています。

またこの先人の優れた記憶を、次代に継承してもらえることを念じているところです。

                                                                                                                                                                                                         

写真: 伊勢神宮内宮

 TP 宇治橋大鳥居

                                                                                    


2016年2月13日