日本のすがた・かたち

2020年7月10日
あら!ボンジュール

先日、久しぶりに新幹線に乗り静岡に出かけました。
仕事の打合せを済ませ、コーヒーを飲もうと、以前行ったことのある古い喫茶店に入りました。
コロナ対策のアルコール消毒の儀式を済ませ席に座ろうとすると、懐かしいシャンソンが流れていました。
若い頃、銀座「銀巴里」でよく聴いていた金子由香利の「再会」でした。


あら!ボンジュール久し振りね

その後 お変わりなくて
あれから どれくらいかしら
あなたは 元気そうね
私は 変わったでしょう?
あれから旅をしたわ
いろんな国を見てきたの
少しは 大人になったわ・・・

 

一瞬にして55年の歳月を遡り、青春真っ只中の自分と再会しました。
あの時と今の自分を重ね、過ぎ去りし日々を想いました。
香り高いブルマンピーベリーを飲みながら、よく吟じていた漢詩も蘇りました。

少年老い易く学成り難し
一寸の光陰軽んずべからず
未だ覚めず池塘春草(ちとうしゅんそう)の夢
階前の梧葉(ごよう)(すで)に秋声

 

忘れていた漢詩の「偶成」(室町時代五山の僧の漢詩)も口をついででてきました。

(あれから六十年か、歳をとるはずだ・・・)

人生は出会いと別れの繰り返し。いつの世も変わらないのが「生者必滅・会者定離」。生きるものの永遠の真理です。

帰路、ガラガラに空いた新幹線の車窓から夕暮れの富士山を眺め、そういえば富士山も60年で相当変容しているはずだ、と回想しました。

自分の幸不幸は自分の心が決めるもの。
光陰矢の如しか・・・。

 

       老いというあやしき絶望我に有り 生死のことは問わぬ夕陽に

 

 

 


2020年7月10日