日本のすがた・かたち

2010年6月26日
コロワイ族

HP-10627.jpg樹の上に土の中にも
棲むヒトは
生きるに隔てはなきと識るかな

                                                            
サッカーワールドカップは世界規模のお祭りのようです。
我が国の熱狂ぶりは、例え日本の進路を決める重要な国政選挙運動中でも変わりません。むしろ選挙報道は関心の外におかれているような感さえあります。テレビの放映時間の長短でそれが分か
                            ります。
現代の情報社会では、マス・コミニュケーションという巨大な力をもつ人心誘導発信メデイアが突出しています。
情報は大きな社会的影響力を持ち、国家の行く末までもリードしながら権力を行使するまでになりました。
私たちの生活もテレビ、ラジオ、インターネット、新聞、雑誌などによる情報を通じ、南アフリカで行われているサッカーや、キルギスの民族衝突、大相撲の野球賭博まで瞬時に知ることができます。
先日、熱帯雨林で生活する樹上生活民族が、初めて「公式に発見」されたとの報道がありました。インドネシア政府による国勢調査を今回初めて受けた主に樹上で生活するコロワイ族です。推定人口は約3000人で、彼らは独自の言語を話し、狩猟採集生活をしているそうで、人食の習慣を持っているようです。
生活様式は石器時代から変わってないといわれますが、テレビやパソコンもなく、勿論携帯電話もありません。しかし、何万年も暮らし続けてきた生活が厳然としてそこにあるようです。
この種族の存在もマスコミによってもたらされたものです。
現代社会において、その地域で国家を形成しているかたちが存在するとすれば、それはマスコミの情報によって知らされるものといっていいでしょう。
その国のすがたや、国を成立させている仕組みをみれば一目瞭然です。いいかえるとその国のすがたや、外国の人のすがたは、マスコミの情報そのものということになります。
私たちはマスコミの影響下で、他人の加工した情報の下で、ものごとの是非を問い、暮らしています。宇宙からの電波がもたらす情報に一喜一憂する生活をしているのです。
現代人は、電波(情報)を制するものが国家間、人間間の競争を制すことになること知っているため、情報取得に過敏になっているのだと思います。
その意味からすると、私たち人間は、日々の競争に勝つために電波をいかに早く、そしてコントロールすることに血道をあげる、そんな生きものになってきたように思えます。
HP-10627-2.jpg国家のすがたはマスコミといえますが、私はサムライジャパンへのイエローカードが極端に少ないことを、今日のマスコミを通して知りました。その報道に日本人のすがたを観ている気がしたのが不思議でした。
先人が培ってきて子孫に伝え続けてきたフェアーな行動、礼を重んじる精神がそこに息づいているように思いました。
樹上生活者と、寝不足を押してテレビにかじり付いている者とどちらが不幸なのか、それは比べることはできません。
「どこにいて、どのように生きてもいいけれど、人様に迷惑をかけることのないように…」
亡き母がよくいっていた言葉です。
人様からイエローカードをもらうことが少ないように、とのことだと、私は解釈しています。
(写真 コロワイ族の樹上住まい  トルコ カッパドキヤの地中住居)
                                                                                                                                                                                                                            


2010年6月26日