日本のすがた・かたち

2008年10月9日
奥行き

hp-43.gifあることを
和みごころの色に変え
伝えほどこす美ましはらから

戦後、アメリカは日本をアメリカ化するために3つの政策を施しました。
3S(スクリーン、スポーツ、セックス)といわれるものです。
日本人の持っている文化を、根底から崩そうとしたものといわれています。
私たちは日本が負けたことでアメリカ文化のほうが優れていると錯覚してきました。その象徴的なことが、国語を英語に変えようとしたようなことです。
3Sを受け入れた私たちは、その刺激的な楽しさに狂乱しました。アメリカの文化こそ世界で一番だと思ったのです。その国の軍事力の大きさ強さと享楽的消費が基準になっていたのです。かつての中国の唐や元の時代の文化性と質は違いますが似ています。
私は建築家を志し、日本の建築は「木の建築」だと40代の頃思いだしてから、アメリカの文化は二百数十年。日本は一万五千年、と気づきました。そして、日本はもう少しで外来文化を呑み込んでしまうだろう、と思いました。
日本人はなぜか外来の文化文明に寛容で、好奇心をかきたてます。またその受け入れは早く、理由の如何を問いません。不思議なことに、外来ものはやがて日本化され、全く違うものとなる道をたどります。取捨選択されながら日本独自のものに変えられるのです。仏教などが良い例です。
その日本化の質の高さをさして、恐ろしい消化酵素をもった民族だという人もいます。
今、私たちは戦争やディズニーランドに象徴されるアメリカ文化に、どこか違和感を覚えだしています。奥行きのない他国の文化に拒否反応が出てきたようです。そして、日本人は過去どうしてきたのか、次代に向けて、どのように「この今」を伝えられるのか、という問いに直面しているようです。
金融危機を境に、戦争を軸にして世界に君臨しようとした愚かな戦略が漸く終焉を迎えだしました。これから、それぞれの国と民族は、自らの文化の奥行きに思いをいたすことになると思います。
私は今、先人が営々と積み重ねてきた生活と、気候風土に根ざした心根に、爽やかな誇りを感じています。
その証が「和の心にて候」という言葉になっていると思っています。


2008年10月9日