日本のすがた・かたち

2018年3月13日
万物の記号化

イタリアの画家・アルチンボルド(1562生)の肖像画「司書」のフィギュア。
信濃川流域から出土した縄文中期(5.5千年前)の「火焔土器」。
アボリジニ(4万年前?)の聖なる文様、「チュリンガ」。
内モンゴル自治区から出土した江山文化(6.5~5千年前)の「玉龍」の石造物。
歌川国芳(1797年生)の浮世絵・寄せ絵「みかけハこハゐがとんだいい人だ」。

私の仕事場には、一見脈絡のなさそうなこれらの工芸品たちや、異様ともいえる物が鎮座ましましています。
長年、好奇心や創作意欲をかきたててくれていたものですが、最近、縄文の火焔土器を仔細に観察するようになって、あることに気づき、今ではその実感が増しています。

 

きっかけは、仕事場にある文物は私の好みの収集に違いはないのですが、なぜこれらに縁が有り、集めることができたのか、なぜこれらが何時も周りに居るのかということでした。

縄文時代の土偶や土器は、当時の生活を彷彿とさせるもので、私の木の建築の原点でした。
火焔土器が好奇心を刺激し、長年謎解きをさせてきたものは何か。
建築装飾に端を発し、浮世絵、絵画、服飾、織物を経て元代のやきものに至り、各国の文様を漁らせてきたのは何か。
その正体は、人間は森羅万象を記号化し文様化する生きものだ、と知らせるメッセージでした。

 

古代エジプトのピラミッドも、ナスカの地上絵も、マチュピチュの空中都市も、バチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂も、バルセロナのサグラダファミリアも、縄文や弥生の住居も、法隆寺も、熊本城も二条城も、二畳の「待庵」も、ドバイのホテルも、アベノハルカスも、新興都市群も…。
歴史を貫く人間の営みを記号化、文様化したものと思うと…。

 

10Bの鉛筆を走らせ、一心にスケッチをしていた手を止めて、ボンヤリとこのような他愛もないことを考えながら、物事を想像し設計する仕事は面白いな、と今更ながらに思ったりしています。

私も年頃だし婚活ではないですが、文物仲間たちの嫁ぎ先と貰ってくれる人を見つけ始めなければ…。

 

 

写真:左、上 アルチンボルド「司書」の絵とフィギュア

   中 江山文化「玉龍」石造  下 歌川国芳 寄せ絵

 

 

 

 

 


2018年3月13日