新之介文庫だより

2018年10月15日
近詠・句歌都々逸29

ふるさとの 磯の香りや 栄螺喰う

 

強羅なる 風温かき 苔の庭

 

箱根路や 幾歳月を たどる樹々

 

芦ノ湖の 船の向こうに 富士の峰

 

楽しみは 孫の雄叫び 宵の月

 

道半ば 今朝ひとつ咲く 西王母

 

彼の人と 月をツマミに ビール呑む

 

設計や 眼の先の闇 月明り

 

茶事一会 削る茶杓に 託す夢

 

床の花 獅子王に笑むか 客の貌

 

思い出は 白い椿に 池の路

 

懐かしや 紅い灯影に 揺れる胸

 

構想は 月冴え渡る 道の如

 

いつまでも 薄れぬ恋に 白椿

 

冬近し 妄想炬燵に 拡散す

 

妄想は 我が望みなり 月に問う

 

迷い道 今更ながらに 紅葉狩り

 

問答や 歓喜悶絶 郷の秋

 

待つ人も 来る人もなし 道祖神

 

今ココを 生きるか遅咲き 酔芙蓉

 

 


2018年10月15日