新之介文庫だより

2014年10月25日
印刷プロからの感想文

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新之介文庫の佐々木です。

このところ新之介さんと一緒で何かと用事が重なり、UPができませんでした。

ご心配をしていただき恐縮です。

 

さて、ご購読いただいている方からの感想文が届いておりますが、今回は『伊勢神宮』の出版で印刷・製本を担当された図書印刷株式会社営業の吉田愉香さんからの文を掲載させていただきます。

吉田さんは次の挨拶文を添えて下さいました。

 

『伊勢神宮』拝読しました。太田先生が20年もの歳月をかけてお書きになったご著書です。伊勢神宮に参拝したことがなく、また日本の歴史、建築にも疎い私が感想を述べるのは大変畏れ多いことですが、素直な感想をお送りさせていただきます。

 

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       『伊勢神宮』を読んで               吉田愉香

 

この本を読もうと手に取った時、印象的だったのは、やはり『千三百年 再生をくり返す 奇跡の建築 その始原は 「荒祭宮」にあった』という、帯の一文でした。

ただ、伊勢神宮に関して一般的な知識しかない私には、この一文がどのような意味を持っているのか理解できなかったというのが事実です。

 

読み始めてみると、古事記、日本書紀の記録から記述が始まり、現代の伊勢神宮に至るまで、とても詳細に学ぶことができました。

各文献に太田先生の考察が合わさり、私にも読み砕くことができたように思います。

 

中でもまず、「神宮はいつ創建建立されたのか、記録は残っていない。」という一文に驚きました。

教養のある方ならば常識的な話なのかもしれませんが、この事実を知らなかった私にとっては、とても興味を惹きつけられる始まりでした。

そしてそこから読み進めて行き、第二章で『私が想い巡らせていた創建時の宮地は、現「内宮」の地ではなかった。

その地は、天照大神の荒魂を祀る、現「荒祭宮」にあった。』という二文に辿り着きました。

あぁ、帯の煽りはここに辿り着くのかと、ようやく意味を知りました。

                      (よしだゆか・印刷・製本担当)

 

 

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また、吉田さんは一緒に本作りに携わったことからの感想も寄せていただきました。 

 

印刷・製本に携わった者としての感想もお送りさせていただきます。

 

デザイナーの北川さんよりいただいた、この「伊勢神宮」デザイン案を拝見した際、一人の本好きな者としては、素敵に奇抜で面白い本だなとワクワクしました。

しかし同時に、一人の印刷・製本会社の者として、かなり苦労しそうだなと思ったのも事実です。

 

黒い特殊紙を使用した表紙に、帯、見返しに、スピン。そして何より、三方黒色の小口塗装。三方小口塗装はそこまで希少な加工ではありませんが、一般的に施される色は金、銀、もしくは青等です。

黒色はインキ成分の関係で、三方小口塗装用の機械にかけることができません。実現するとなりますと、製本担当者が一つ一つ手作りで塗装していくしかありません。 

 

表紙は全て、帯の一部が箔押しという表現も、ただ印刷で文字を刷るより遥かに高級感が出ております。

それでいて艶消しの銀箔と、落ち着いた色調の紫箔ですので、「伊勢神宮」という格式高い雰囲気がとてもよく表されているように感じました。

 

表紙をめくって本文を開くと、真っ黒ではないダークグレーの文字で文章が綴られており、それもまた品のある印象を受けます。

 

これは私の個人的な意見ですが、今回の上製製本はコスト的にも高価な製本様式で、その本に重みをもたせることのできる製本であると考えております。この『伊勢神宮』にとてもよく合っています。

 

正直申しまして、現場と揉めるのが目に見えておりましたので、当初は不安でいっぱいでした。しかし太田先生やこの『伊勢神宮』に関わる方々とお話をしていると、私も印刷・製本のプロとして、全力で挑戦させていただきたいと思うようになりました。

 

あとがきに私まで名前を載せていただき、出来上がった本をこうして拝見させていただいておりますと、精一杯努めて本当に良かったと思います。

綺麗に出来上がるのが当たり前と言われる仕事環境の中で、お褒めの言葉をいただいたことは正直ほとんどありませんので、とても嬉しく、これからの仕事への姿勢を改めて考えさせられました。 

 

本当にありがとうございました。

伊勢神宮には、必ず参拝に行こうと思っております。

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吉田さん有難うございました。

『伊勢神宮』は今月に入り、宮様はじめ各界の著名な方々にご購読頂いております。

新之介さんはすでに心は『伊勢神宮』になく、また新たな執筆に取り組んでいます。

 

『伊勢神宮』は10/31(金)から電子書店で順次公開されます。

※書店側都合によって、稀に一部の書店では配信開始が遅れる可能性があります。  

 解説文―――――――――――――――――――

天皇家の祖先がなぜ僻地である伊勢に祀られたのか。 本書は21年前、第61回式年遷宮参拝をした後の疑問から書かれた。 「飛騨の口碑」を援用し、『記紀』や学説に挑み20年。 伊勢神宮にまつわる謎を次々と明らかにする。 創建を1300年前、現内宮正殿の建築様式は明治時代のものとし、 始原の地は現「荒祭宮」であったとする。 建築史に一石を投じ、日本古代史の闇に光を与えるものといえる。 内容は読みやすく、木の建築家ならではの視点の書。

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またお知らせしますが、皆様のご購読を宜しくお願いします。

 

写真:伊勢神宮・現御手洗場(創建時はここに橋が架かり、内宮に渡っていた(文中より))

 

 


2014年10月25日