新之介文庫だより

2014年7月23日
建築家からの感想文

001 - コピー (24)-2.jpg新之介文庫の佐々木です。

嬉しいことに読者の皆様から次々に感想文や励ましのお言葉が届いています。

昨日は本文の引用文に掲載させていただいた、飛騨の口碑の研究家中西正矢さんからメールで温かいお言葉を頂きました。

「大変読み易い文体と構成に、気がつくと一気に100ページほど読み進んでいました。 

原始の内宮は、御手洗場の所で橋を渡り、正殿は荒祭宮の地にあった、という御説にはまったく賛成です。 

飛騨の口碑を取り上げて下さり、ありがとうございます。山本(健造)先生もきっと喜んでおられると思います。後半も楽しみに読ませてもらいます。」

中西さん有難うございました。


感想文を送ってくださった尾林さんは静岡市在住の建築家で著者と長く交流を深めている道兄のような方です。

尾林さん有難うございました。

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        太田新之介著『伊勢神宮』に触れてみて      尾林孝雄

何がきっかけで「伊勢神宮」を調べ執筆することになったのか、読む前に、ここに興味があった。本書の中できっかけとなった幾つかの疑問に触れるとものの見方に対する新しい発見を感じます。私は常に、思い込みには気を付けろ、と自分に言い聞かせていますが、このあたりのことと何か共鳴するところがあるように思います。

この本は、当たり前のように思われてきた既成事実に疑問を感じ、ここに焦点を当て、20年という長い歳月をかけ裏付け調査を積み重ねてまとめ上げた著書であることに、大きな重みを感じました。

 

伊勢神宮の疑問というより、伊勢神宮の謎といった方がよいかも知れませんが、疑問を整理すると、

その1→なぜ伊勢の山奥に天皇家の先祖が祀られているのか。

その2→創建はいつなのか2000年前なのか、1300年前なのか。

その3→神宮建築は古代から継続されてきたものなのか。

その4→始原のすがたは、創建の敷地はどこか。

その5→なぜ伊勢神宮が日本人にとって魅惑の建築であり続けるのか。

その6→日本人が木の建築に寄せる精神のありようは何か。

などなどが、探り続けた経過を追いながら書かれている様子がわかります。

 

本書をまとめる引き金となったのが「飛騨の口碑」との出会いであり、新しい発見と学ぶところが多かったようです。古事記、日本書記の記述をもとに、伊勢神宮、出雲大社、熱田神宮、鹿島神宮など、名のある神社に伝わる伝説の由来を調べ、それらに「飛騨の口碑」を重ねていったと述べています。第1章三編の歴史書に、そのあたりのことが詳しく書かれています。「飛騨の口碑」が本書の核となっており、伊勢神宮の謎の解明のカギを握っている様子が伺えます。

私は2014年1月23日に、2013年の式年遷宮で新しくなった外宮と内宮を目にしたことに合わせて、古い建物の内宮を、縁あって、目前で目にすることができました。そのときには伊勢神宮と出雲大社に繋がりのあることを僅かながら知識としてあり、本書の出版も間近と聞いていましたので、どのように書かれているか、そのことも楽しみにしながら見学しました。

この本を読み始めたとき、20年の歳月を刻んだ古い内宮の立ち姿が目に浮かび、歴史の節目と伝統技術の継承のあり方の必要性を感じました。

最も日本的な建築といわれている伊勢神宮をいろいろな角度から稀有な発想と地道な努力の裏付け調査によって追い求め解明していく内容は、読む人の心をひきつけますし、何度も読み返さなければと思わせる深さを感じさせます。

まだ僅かですが、『伊勢神宮』に触れてみて、楽しむことができました。      (おばやしたかお・建築家)

 

画像 伊勢神宮参詣曼荼羅 江戸時代 内宮(三井文庫)

 

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他にお寄せいただいた感想文を次回に掲載させていただきます。 

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2014年7月23日