新之介文庫だより

2014年1月16日
『水晶殿改修記』-43 左官工事2

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新之介文庫の佐々木です。

水晶殿の改修工事の中でも重要な工事のひとつが左官工事。

 

外壁は最も水晶殿らしい外観を造るため様々な工夫がこらされた。

太田は外壁の仕上げに、白セメントにガラスの粒を入れたモルタルを塗り、硬化する前に水で表面を洗う、「洗い出し」という工法を提案しました。

昭和29年の創建時は白い石の粒を入れた「洗い出し」で、改修前は吹付タイルでした。

 

IMG_1941.JPG内部円形ホール大天井は漆喰(しっくい)塗り。

改修前はパーライトという吹付材料で補修されていました。

 

外壁のクリスタルイメージを実現すること、内部仕上げの高度な漆喰塗りができる左官職として選ばれたのが、神奈川県湯河原町の長田左官でした。

社長の長田幸司さんは全国でも有数な左官職人で、文化財の修復や茶室の工事を担当していました。

 

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太田は設計段階で何度も長田さんの仕事を見て回り、伝統的な内容や人柄を認め、施主側に特命推薦をしました。

「左官工事が完成度の明暗を分ける…」太田の言葉でした。

 

朝陽を受けた水晶殿は煌めくように浮かびます。

漆喰塗りの室内は清々しい空気が漂います。

 

長田さんは全国から有能な左官職人を集めて、見事に施主の意向に応えてくれました。

水晶殿には過去から現代までの左官技術の粋が集まっています。

 

写真 上 外壁仕上げの見本をチェック

   中 水晶殿西側の外壁左官工事風景

   下 足場が外れ、アクリルガラスが入った竣工前の水晶殿西面

 

 

 

 


2014年1月16日