新之介文庫だより

2013年12月17日
『水晶殿改修記』-41建具・引手

IMG_1082.JPG新之介文庫の佐々木です。

水晶殿に使われた木材の内で、建具材は主にタモ材。

創建時の仕様はシオジという材名でしたが、現在ではシオジの良材は入手困難。

建築家は材料調達に意欲を見せていましたが、結局はシオジ材を断念し、材質の近い良質のタモを選定しました。

写真上は名古屋でタモ材の検査風景です。

水晶殿内部の造作材の殆どは、このタモ材で作られています。

 

控之間の出入り口は引き込み戸が2か所あり、その建具の引手(ひきて)は、見るたびに大きく見えます。

この引手のデザインは、たなびく「瑞雲」。その周りは魚々子打ち(ななこうち)という細かい魚卵のような点々模様が一面に打ちこまれ、引手の上下には水晶の結晶体を表す六角形の止め金で取り付けられています。

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正にこれは、一品生産であり、本物の品格を備えています。

IMG_4616.JPGこの製品は京都の森本錺金具製作所が担当しましたが、伊勢神宮を初め、多くの伝統建築に携わる森本さんの、経験と工夫が活かされ、建築家の意図が反映されています。

写真は銀の鍍金を施す前の銅板加工の下地見本。

それは美しく出来上がりました。

 

(写真 中 太田のデザインした図により製作にかかる森本錺金物製作所の作業場風景)

 

 

 


2013年12月17日