新之介文庫だより

2012年12月1日
『水晶殿改修記』-5 建物実測調査

0008.jpg新之介文庫の佐々木です。

建物の実測調査とは、平面の形状はもとより細部にまでおよび、寸法を計測し、材料を確認し、その仕様を整理し、入手経路方法など多岐にわたります。

結果として実測図にまとめ、建築家としての考察を加えたもので、単なる計測図ではないところが、他とは隔世の感があると、私は思います。

これほどの調査には、多くの協力者の皆様との聞き取りも含まれます。

今回の改修の最大の目的は、水晶殿創建時のすがた・かたちをいかに表現し、再生させるか、創建以降手を加えたのはなぜか、そしてその後どうなったのか、など。

表面に現れている部分はともかく、隠れている部分は解体してみなければわかりません。が、しかし、実測を進めていくと、新たな発見もありました。

これらを整理し、再生の設計図の構想が組みたてられます。まさに重要なステップと言えます。

 

水晶殿の耐震調査や実測調査は、造営主でもあった岡田茂吉翁がどのような思想、構想で設計をされたのかを、模索する始まりでもありました。

建築家はそれに感応する力量が問われることになります。

それは太田新之介が36年前に水晶殿に出会ってから、約束されていた実測調査依頼のようでした。

(写真 実測調査時の水晶殿)

 

 


2012年12月1日