新之介文庫だより
2011年11月10日
『水晶殿』-20 奇跡の90日
新之介文庫の佐々木です。
記録によると
昭和29年9月23日 現場再着工(設計変更の為確認申請の再認可を待った)
12月11日 同竣工 この間90日。
まさに奇跡の90日であるが、
これには理にかなった工法と工程が用意されていた。
鉄骨部分の製作期間の謎と、そして現場での組み立ての期間。
さらには、この離れ業を成した人たち。
工事総責任者の椎野浅五郎、子息の高野寛二は現場管理・監督を担い、
独創的な構造設計を担当した当時建設省の技術課長。
また、まだ世に希だった鉄骨鉄筋コンクリート構造を造った人たち。
「建築は誠意の総量によって決まる」
著者の建築に対する考え方のひとつである。
水晶殿に関わり携わった人たちの、それぞれの思い。
建築とは誠意が形を変えて現れているものだ・・・・
そして、戦後の未だ物資がなかった頃、
『人、材料、資金とも必要なものはすべて集まる』、といわれた造営主。
著者は今、その再現に立ち会っている選ばれた人なのかもしれない。
2011年11月10日