イベント情報

2018年3月6日
一会如何

 

今年の10月末に名残の茶事を催すことにしていましたが、仕事などの都合で11月末に変更することにしました。

名残では縄文期の「タイ・バンチェン土器水指」を使用し、縄文時代をテーマにした茶事にすることを楽しみにしていましたが、またの機会に。

11月は茶家では子の月の正月で、炉開きの月になります。
残暑厳しい頃から正月を迎える準備を始め、大掃除や露地の手入れや四つ目垣、軒樋などを青竹に変えことになります。

茶の湯は季節の到来を待つ行事で、その時期に相応しい儀式をもって行いますが、この儀式こそ、先祖が日本列島に棲み始めた頃からの記憶ということになります。

茶事の根幹を成すものは、自然への感謝と先祖への謝恩で、とどのつまりは人として健やかに生きるための儀礼と儀式いえます。
30年も催していると、なぜこの儀式が絶えないのか理解できます。
多分、それをリードしている茶味という茶の美意識が人々の心を動かして、行為に誘っているようです。

先賢は「美しいものに触れると情操が高まり、品格が高まる」と諭しています。
茶事に勤しんでいる人たちは、きっとこの情操の高まりを実感していると思われます。
歴史、気象、天候、宗教、五行(木、火、土、金、水)、庭園、建築、美術工芸、料理、服飾、礼儀作法、音楽などを包含した茶事の儀式は、まさに森羅万象を表現する行為といえます。

未だ11月までは時間がありますが、今年は露地の植栽を剪定する必要に迫られ、すでに始めています。
お招きする客方の顔を思い浮かべながら枝を伐り、草を引いています。

ただひとつ、茶事二百会で私の品性が相当高まったと思っていたところ、先賢が「品性は人により乱高下する。」と。
そうだよな、と、素直に納得。

掃除から始まり、掃除に終わる。
茶事は古人と会える楽しみも…。

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表題の一会如何(いちえいかが)を(いっかいどう?)と読んだ客人がいた。
一同悶絶無声の爆笑でした。

写真:丹波変沓茶碗 銘「安蛮技也瑠土(アバンギャルド)」自作

 

 


2018年3月6日