日本のすがた・かたち

2018年2月25日
想像と理想

理想とする建築家像を追い求め、既に40年が過ぎています。
未だ道半ばですが、この頃は自分のイメージする理想形に到達することはないと思うようになりました。

2000~05年に「空と宇宙の未来都市・スーパーアミューズメントシテイ施設」(約120ha規模の敷地内)の未来都市の基本構想立案の任に就きました。
その中心となる巨大パビリオンは「グレート・アーボ」(集約型展示施設で、空と宇宙のデーマ館)と名付けられ、規模は平面でタテ:300m、ヨコ:240m 高さ50mで、宇宙から飛来した未確認飛行物体をイメージしたものでした。

これを計画した折に遭遇したスケール感は、体験のないもので、仮想現実というか空想の空間そのものでした。
宇宙というものを考え、宗教や科学の世界を彷徨する三年でもありました。

この折に同時進行していたのが、茶室の「小間席」の設計でした。
小間席の平面は約2.7m×2.7m。敷地の広さは約270㎡。
パビリオンと茶室とのスケール感の差異に苦しんだ三年でした。
未来都市計画は起業者の都合により数年で頓挫し、一方の茶室は完成しました。

この折の三年間は私の設計観を大いに惑わせ、狂わせ、それまであった想像力をバラバラに解体しました。何を頼りに建築の設計をして行ったらいいのか迷わせることになりました。

それから暫くして住宅の設計依頼を受けました。
その計画を練っている最中に不思議なことに遭遇しました。
どのような建築でも設計できる気分が芽生えていたのです。
以来、その感触は今日まで続き、敷地に立ち、構想し、設計し、施工し、完成した後の維持や管理を一貫し想像できるようになりました。

建築の設計は崇高な志が為せる業。
建築家は、その高い理念の下に人類のすぐれた遺産を継承し、新たな文化を創造し発展させて行く使命を佩びる…。

この私の理想は達成できない可能性が高い。先人はどのようにしてその使命を果たしてきたのか。どのように次代に継承してきたのか。
そう改めて思う昨今です。


構想計画案(設計主旨抜粋)2005年

空と宇宙がテーマのメインパビリオン
「グレート・アーボ」
(展示館 平面 タテ、ヨコ 300m 240m 高さ50m)
集約型展示施設で、空と宇宙のデーマ館。
アミューズメント シテイの中核をなす建築で、ハレー彗星をモデルにした地上絵の先端部に宇宙から飛来した未確認飛行物体のイメージでデザインした。

九星を現す円のドームと、それを結ぶスーパーチュウブは、それぞれ企業パビリオンの展示空間で、宇宙ステーション内の光景や体験施設のほか、イベント、ライブ会場、宇宙食レストラン、グッズ売店、休憩所、託児所、宇宙トイレなどが、未来型のデザインで配置される。

中央ドームは直径70メートルの空間に2基のロケットと組立て中の人口衛星を配備し展示のみならず、ロケットの製作過程を見ることができる。最上階は中央管理室とSCJ本社。階下は眺望レストランと大浴場を設ける。

建物は最先端の免震工法を用い地下に水と備品を主としたデュポ(備蓄基地)をつくる。

災害時には1万人6か月避難生活の拠点となるほか、国レベルの災害対策本部として機能する施設とノウハウを完備する。


 

 

 


2018年2月25日