イベント情報
11名の連客と寄付に入ると、床には龍澤寺山本玄峰老師筆の「寿」の色紙。
白湯を頂き、本席に入ると、修善寺三十八世岡球学老師筆の「福聚海無量」。
樵隠会のメンバーでもあり、迷悟庵茶道教室の柴山崇志さんと、細澤啓司さん、市川和芳さんが中心となり、15名の茶友が「古稀祝い」の一会を催してくれました。
挨拶、問答も心に染みるもので、有難い限りでした。
懐石から始まり、主菓子が出て中立となりました。
料理は季節の旬のもので、どれもが美味で心の籠もったものでした。中でも煮物碗の「いちご煮」は、東北の陸奥湊以来でしたのでとても印象的でした。
後入は博多の祭りの祝い歌で迎えられ、これも感激でした。
席に入ると床の間には菖蒲が刀箱の花入に入り、床荘りは武具の兜でした。
神代杉の木地香合は細澤氏がこの日のために作った、銘「庵」という細工物で名匠作のように見事なものでした
濃茶は市川さんの点前でした。
彼の点前は天性のものと思われますが、見ていて清々しい気持ちでした。
茶入は伊賀、主茶碗は粉引き、茶杓は品良く鋭い削りの煤竹…。
道具拝見の問答で、
「お茶入は?」
「伊賀でございます」
「何方のお作で?」
「お正客様のお作で、先年私が頂いたものです」
(見たことがあるように思っていたが、差し上げたのは忘れていた…)
「やはり、迷品と見受けましたが、私の作でしたか」
「迷品と…?…?」
茶杓はこの日のために亭主が削った心入れの一本。
薄茶は細澤氏の点前。精進の姿が見えて励まされた。
私と迷悟庵主を入れて12人の客は、林鐘の祝いの茶事を堪能し、名残惜しそうに退席となった。
その後、私たちは柴山氏始め全員のご好意に甘え、同じ名旅館「柳生の庄」に投宿し、名湯で一会の思い出に浸りました。
宵の修善寺の川はホタルが乱舞し、何年か振りにホタル狩りを楽しむことができました。
思いなや古稀の祝いの茶の席に 心を尽くす茶友を見るとは
この茶福を得て、次はこの旅館で私の主催する茶会を催してみようかと思った次第でした。
写真: 修善寺名旅館「柳生の庄」
TP ホタル舞う修善寺の川