新之介文庫・近日発刊予定
(近日発刊)
磯千代(いそちよ)姐さん三味線かかえ、粋な兵衛(ひょうえ)と都々逸で、この世をチクリと刺している。
所は深川お茶屋の二階、香が焚かれた四畳半。猫のタマもニャンとして。
遊び人と芸者と猫のタマで織り成す都々逸(どどいつ)の世界。
時事風刺を上、中、下の各250頁3巻にまとめたニンマリの都々逸集。
あらすじ
1、今年でお幾つに?
「あら兵ちゃん、お久しぶりね」。
「磯千代姐さんも変わらないね、今年でお幾つに?」
「ヤダ~女性に歳を聞くなんて」
「女性??」
「せっかくのおたずねだから、都々逸でね、…ん」
ツツンツツツンツン…
♪ 当年取っての話だけれど 私ゃ六十 主ゃ五十
「当(十)年取ってねえ……。それにしても姐さん若いねえ」
「有難う、兵ちゃんもやって」
♪ 綺麗なキミにボク参ってた この頃視力が衰えて…
「余り有難くないわねえ、目がちゃんと見えてるの?」
「視力は未だ1.5だよ」
「まあ、憎いお方、じゃもうひとつ、…ん」
♪ たまに逢うからいいのよアナタ 我慢してねとタマがなく
「たま? タマねえ、…あっ、あの猫の名か」
「タマ覚えてるニャーン」
「おう、タマ元気だったのか」
「タマ会えて嬉しいニャーン」
「ボクも嬉しいね。姐さんとの最高コンビだものな」
「兵ちゃんおだてないでね、この頃タマが少し変なのよ」
「変なのはバアサンニャーン」
「ほらね、こんな憎まれ口をきくようになったのよ」
「タマの愛情の表現だよ、なあタマ」
「ゴロニャーン」
「兵ちゃん如何」
ツツンツツツンツン…
♪ ボクはできるさ我慢の人さ ガマンできずに漏らすけど
「あらま~、兵ちゃんもうお漏らししてるの?」
「フフフ…ヒミツをさ」
「兵ちゃんもうひとつお願い」
「姐さんといると刺激されるなぁ、じゃ」
♪ 三味をつまびき都々逸唄い 浮世の垢を流す宵
「兵ちゃんまたご一緒できるの嬉しいわ」
「掛け合い都々逸っていいもんだね」
「この頃できる人がいなくなっちゃて」
「そうだなぁAKBの時代だからな」
「でも都々逸って日本人の粋な唄だと思うわ」
「日本のシャンソンだね」
「じゃ、アタシやってみるわ、…ん」
♪ 昔なじみのアナタの胸に 片目つぶって頬寄せる
「バーチャル姐さんだなぁ」
「兵ちゃんこれからこの線でお願いね」
「タマ妬けるニャーン」
「お前が妬いてどうするの」
「タマもひとつやってみるか」
「やってみるニャーン」
♪ アタシゃメス猫子供もできる 声が掛れば何処ででもニャーン
「このバカタマ!お前は操ってものがないのかえ」
「タマ、レベル高いよ。これからも一緒にな」
「タマ嬉しいニャーン」
「姐さん、今夜はこの辺で」
造本体裁
判型:電子書籍
発売日:近日中発刊予定
著者:太田新之介
発行:新之介文庫