日本のすがた・かたち

2018年9月9日
通常気象災害

常々自然の気象には異常というものはない、というのが私見です。
異常と通常との境目は学問上の統計が根拠となっていて、その歴史は精々百年程のものです。
48億年という地球の年齢からすれば、ほんの瞬きでしかない時間の計測が私たちの判断基準としている方が異常なことのように思います。

 

最近発生した災害は、「2016年4月:熊本地震」、「2019年6月:大阪北部地震」、
「2018年7月:西日本豪雨」、そして復旧に追われている「2018年:台風21号」、2018年9月6日:北海道胆振東部地震」と枚挙にいとまがありません。
いずれもが甚大な被害を受けて死者も多く出ています。
これらを異常とか想定外とかという基準で判断できるものではないようです。

 

我が国の記録に残る災害は,1000年代以前の白鳳地震(東海地震・南海地震):684年11月29日に発生したM8.4(くらい)の地震から始まり、10万人の死者が出たという「関東大震災」(1923年9月1日に発生したM7.9の地震)までに発生した大災害は66回です。以降、北海道胆振東部地震まで85回。
有史以来、約1500年の間に起きた大災害は150余といわれています。これらはいずれも想定外といわれています。

自然事象に対抗し、ましてや征服するということは愚かなことだと先賢は看破しています。人間が生きて行く上で、どうしても変えられない最大のものは「自然の事象」といわれます。また「過去」と「他人の人格」も変えることはできないもので、これらに上手く付き合っていくには「折り合いを付けて行く」以外にないようです。

災害対策には妙案はなく、災害に備えできる限りの準備をし、後は事象に任せ、皆で力を合わせ復旧、復興をして行く以外にないように思います。そしてこの繰り返しの知恵を次代に伝達できるようにすることだと思います。

私たちは生息地域の気候風土に育まれて生活しています。空気、水、食料、住い、衣服、エネルギーなどを得て暮らしています。

自然の循環に逆らわず、順応し、折り合いを付けながら、地域特有のエネルギーをシンプルな方法で得て暮らして行く知恵を持ち、次代に伝えて行く…。

私は木の建築を設計しながら、この自然界の中で順応し、使う人たちが健やかで美しい生活を目指してくれるようにと念ずるものです。水、木、石、土など、これらを用いて実現を夢見る昨今です。

太陽光発電ではなく、水力発電を多くすることも併せて…。

 

    被災され亡くなった方のご冥福をお祈り致します。

 

写真:地震で発生した北海道厚真町の土砂崩れ現場=6日午前8時21分(共同)

 

 


2018年9月9日