日本のすがた・かたち

2017年12月13日
まちづくり

時々まちづくりについて談義することがあります。
私の話は何時ものことですが、「百年計画」について、なります。
一世紀をかけてまちを作り変えようというものです。
この話を何度も聞いているひとは、少し食傷気味となっているようですが、また話が進むと思いの他興味を示し、身を乗り出してきます。

大筋は人が集まりビジネスや政治の中心は、高層ビル群を造り、その外周にはモノづくりや教育施設などを造り、その外周には住居群を造り、その外側には農場を造り、その外側には里山を造り、林業などが営める地域、その外側には自然林を残す、というものです。

そしてモノづくりや教育などの施設とその外周は木造建築として、地元の木材を使用するという構想です。
外周の自然の森から中心を成すビル群に至るまでの建築や施設を、木造化しようというものです。

これからの時代は、テクノロジー化が進む速度が速くなり、あっという間に人工知能が世を席捲することになるは必定です。人間の働き方や活動の仕方も激変し、もしかするとロボットに使われる仕事が多くなると思われます。

建築は人間の生活環境と文化をかたちづくるものですがあるため、時代の流れには逆らえず、多分、無機質の箱の中にテクノロジーを駆使したイミテーション空間を創作し、その中で暮らすことを余儀なくされるはずです。

仮想の電子空間で拡張される仮想現実の中で暮らし、電子機器に囲まれ、見るものは仮想でイミテーション、聞くものは機械音、匂いもイミテーション、食べ物の味も人工物、肌に触れるものも石化原料衣料となり、居住する空間は外気と隔絶し、24時間換気をし、密閉状態にして空気清浄機と加湿器を使う・・・。そして人間もイミテーション類に。
これは何処か異常の生活環境ではないのか、・・・。人間を含めた生きものの生活環境はこのようになって行って良いのか・・・。

私の話のモデルは徳川家康が江戸の町づくりをしたことに遡ります。
政治の中心である江戸城からスパイラス状に広がっていた江戸の町は、先の戦争で壊滅してしまいましたが、生きものを中心とした構想は、これからの時代に大きな示唆を与えているように思います。
そのまちづくりを担ったものは、約三億八千年前にこの地球上に出現し進化を遂げた「木」でした。

私は生きている限り、木の建築の話をして行こうと思っています。

 

     それぞれに 見える景色や 富士の嶺

 

 


2017年12月13日