日本のすがた・かたち

2017年8月9日
火焚きの儀式

誘われて熱海の花火を観に出かけました。
砂浜の階段で見上げた花火の色は多様で、前にもましてグラデーションがかかり神秘的でした。さすが日本の花火は世界一。
何時見ても、花火の華やかさと一瞬に消える儚さに酔わされます。

          大輪の 花火の色や 淡い月

 

それにしても浴衣の若い女性の多さに驚かされ、それに釣り合うように若い男が多いこと。メスが集まるとオスも群がるとは虫の世界ばかりではないな、と思いました。少子化対策は本能のなせる行動に任せるが最善の策で、動向を握るのは何時の世も若い女子ということになります。まちづくりやまちおこしは、この視点を持って計画すべしです。

花火を観ている頃、富士宮芝川の佐々木窯では窯詰を終え、窯を塞ぎ、下燃しという窯の湿気を取るため窯外で火を焚く準備をしいていました。この数日の大雨で窯が異常な湿めりとのことでした。

今朝、陶友市川武さんから写真が届き、火が焚かれたことを知らされました。

      窯焚きや 火に手をかざす 月の夜

10月6日の個展に向けて、陶芸家佐々木泰男さんの勝負の窯です。

 

そして13日の夕方はお盆の迎え火を焚き、ご先祖さんを迎えます。
花火も窯も迎え火も毎年繰り返される火焚きの儀式。
火によって人間は覚醒し、そして非力を識る。
生きているとは、燃えながら暮らすことと人はいう。

      燃えているよな素振りを見せて 何も仕掛けぬ野暮カラス

 

この頃は、燃えながら暮らすに秘訣はないと思うようになりました。

なるべく粋に、今ここを生きる……。

 

写真:熱海の花火

下:佐々木窯の下燃し

 

 


2017年8月9日