2008年12月01日
柿と栗
お茶会担当の芽久美です。
前回、口切 ( くちきり)のことに少し触れましたので、もう少し。
口切の茶事では、お菓子や懐石に柿と栗をだすのがお約束になっています。
なぜ、柿と栗なのか。
昔は、初夏に摘んだお茶の葉を茶壷に詰め、山で寝かせて熟成させ、炉開きのころに茶師が茶家に届けていたそうです。
実りの秋。道中には、滋養たっぷりの柿や栗がたくさんなっています。
茶壷を届けるという仕事だけでなく、一緒にその山の幸を祝儀としてさしあげようと思う、茶師の心。
そして、その心くばりを感謝していただき、口切の茶事で菓子や懐石として客に供し、客にお裾分けしようという茶人の心。
この柿と栗に、人を想い、またその想いをしっかりと受け止めるということ、人と人とが共に生きていくうえでの基本を教えられます。
新之介さんの主宰する樵隠塾が開催されていた、「和の心にて候」とも縁の深い北鎌倉の雪堂美術館のすぐ近くに、お花のお寺として有名な東慶寺があります。
その墓苑の奥に、夏目漱石の参禅の師でもある釈宗演が歌人の佐佐木信綱に宛てた歌の碑がたっていますが、私はそこに彫られている歌がとても好きで、よくそこを訪れます。
心よりやがてこころに伝ふればさく花となり鳴く鳥となる
お茶は、まず、人を想うところから始まります。
私は昨年の瑞雲茶会に参加していないので、点心の中身までは存じませんが、きっとお重の中には柿のお膾とか栗の甘露煮とかがそえられていたのでは・・・などと想像をふくらませています。
瑞雲茶会の茶会録を拝見していると、この「人を想う」ということが、最初から最後まで、その根底に流れているのを強く感じます。
さて、来年の11月29日に熱海のMOA美術館で「和の心にて候」が再演されることがきまったとのことですね。
いまから、わくわくします。
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