新之介文庫だより

2019年3月2日
新刊『千々繚乱』のお知らせ

新刊本のお知らせ

句集『千々繚乱』(ちぢりょうらん)
自撰 700句

判型:四六判
製本:上製本
総頁:176頁予定
定価:未定
発売日:2019年7月予定
著者:太田新之介
発行:新之介文庫

 

あとがき
今年の六月で私の設計生活も半世紀となる。過ぎてみれば長短相半ばのようだ。
五十年の間に意に任せて句、歌、都々逸、歌詞、詩などを詠んできた。
中でも俳句は日々を占めていた設計作業への詠嘆が多くあり、設計を題としたものが大半を占めている。直情的で気が短く、禅語が好きな性に、極短語である俳句様式が合っていたのだと思う。

設計は裡なる自分との対話が主となる作業で、己の成長なくしては高見に登れないものだ。また何よりもその過程において技術的訓練や習得だけでなく、設計者としての良心を育てて行く覚悟が必要となる。
設計に対する良心こそ、人間の生活環境と文化をかたちづくる基本的要件と思ってきたものだ。その意味で三千余の俳句はその良き伴侶となって私を支えてくれていた。

句は十七文字形式を基本としているものの、正統のものとは言い難く、川柳や狂歌のような句とも思えるし、和歌の尻切れのようでもある。いってしまえば口から出て来る言葉を搦め捕っただけの感があり、もとより俳聖や俳人からは酷評されること必定と思う。また余り推敲も成していないため、我流の域を出ないものと承知している。
編集に際し句をまとめてみると、苦渋の勝る歳月だったと述懐する。しかしこの幾多の苦行は、現在の私を形成している全てであり、苦難こそが自分を鍛え、育ててくれた恩人ともいえるものだ。

句作の師は『於八於五』を共著した俳人赤松孝子である。
叔母の孝子は御年九十三歳で、娘の住む仙台で暮らしている。私はこの句集を叔母に届けるのを楽しみにしているが、「お前も成長していないねぇ」と、いわれるような気がしている。
(中略)

当年とって七十三、この先は定かではないが、息絶えるまで設計に身を染めていたいと思っている。
(後略)

 

 


2019年3月2日