新之介文庫だより

2018年2月11日
近詠・句歌都々逸18

 

老少を 定めぬ雪は 降り積もる

 

寂しさは 音なき夜の 雪明かり

 

心まで 凍るか雪降る 葬りあと

 

ひとは逝き いずれは我もと 風の音

 

都会の大雪 誰もがトホホ 行方不明の 主ゃいずこ

 

イタリアンブーツも 役には立たぬ 滑り転んで 後遺症

 

肌を寄せ合い 寒さを凌ぐ 主が恋しい この夜だけ

 

春立ちて 木々の芽吹きの いや増して 花を待つ身の 今朝の嬉しさ

 

風吹けば 黄泉の声かと 耳たてる

 

立春や 富士の化粧の 艶めかし

 

ただ熱き 思い頼りの 春立ちぬ

 

沸々と 熱い望みや 春淡し

 

構想は 堰を切ったか 雪の夜

 

都会の大雪 厄介至極 滑る転ぶし 尻はアザ

 

粋なお方と 思っていたが 何故か今夜の 野暮なこと

 

寒い漏れるわ 濡れるわ染みる 雪に描こうか 放ち痕

 

人のえにしの 細さに泣いて 君の太さに 癒される

 

何処までか 雪幻に 隠しけり

 

彼の女に 唐織の帯 雪の夜

 

図を描いて 己に聴かす 子守唄

 

 

 


2018年2月11日