新之介文庫だより

2017年10月20日
近詠・句歌都々逸Ⅶ

 

たまゆらの 縁か匂う紫の 色も床しき 萩の月影

 


ぬばたまの 銀河の果てを見せるごと 煌めく渦の 深き星影

 


反応や 鈍いばかりの 今朝の夢

 


改まる 今日の初めの 淡き月

 


月の夜道を 悶えて歩く 触れる指先 かかる息

 


泣いて別れた ばかりというに 肘ブラはしゃぐ 身の軽さ

 


何はともあれ 明日も生きる 思い定めて 今日は寝る

 


秋風に 揺れて香るか 蕎麦の花 彼の女
(ひと)揺れた 白き黄昏

 


それはその その時の話 酔芙蓉

 


やめられぬ 冥土に至る 道探し

 


思い出す 銀座のネオン 恋の歌

 


孤独にも 一理あるかな 老い姿

 


紅葉は 華やぐ色か 寂しけり

 


スマホ見ぬ 今日一日の しどけなさ

 


あの女
(ひと)は 何処にいるのか 夢逢瀬

 


またも秋 風も寂しき 雲ひとつ

 


憧れは 図にすることの 叶うまで

 


東京は 名も無き縁 人の波

 


縁とは 呼べぬ秋雨 肩に降る

 


降る雨は あの日の別れ 野辺の路

 

 

 

 


2017年10月20日