新之介文庫の佐々木です。
造営主は人類の救済を進めるにとどまらず、
箱根の神仙郷、熱海の瑞雲郷、京都の平安郷に、
新文明社会を現わす地上天国のひな型として
様々な美しい庭園や建築を遺した。
その中にあって、熱海にあるモダニズム建築の粋「水晶殿」
箱根にある茶室建築の粋「山月庵」
この二つは、いずれ建築史上に名蹟として名をとどめる・・・
造営主は、七十三年の生涯の中、
立教者であるほか、思想家、科学者、医療家、文明評論家、
書家、画家、歌人、華道家、建築家、造園家、美術工芸家、
美術収集家、数寄者など、まさに超人であった。
著者は若い時に、造営主の生誕地の造園設計に参画した。
その東京墨田区橋場の石碑の前で、
人の縁の不思議さと有難さに包まれながら、
遥か雲上に光華を放っているだろう陽の光を観ていた。
新之介文庫の佐々木です。
現代建築は、人をして美しいと感じさせるものから遠ざかっている。
建築は、技術革新や、文化芸術を孕んだ時代の先端である。
その現代建築に欠けているもの、それは「美しさへの憧れ」だ。
「美しき波動」を発する建築が少なくなってきた。
建築家は多くの人々の心の底に、美しい波動を送ることを願い、
依頼主(造営主)の本意に応え、その志向を定め、天地の意思に背かず、
与えられた人、財、材、時を結集し、人々の人心教化に寄与せんとし、
一連の行為を目指す・・・。
「どのような建築であっても、人が涙するような美しいものを造りたい」
著者は三十数年を経て、ここに、ひとつの回答を自分に語りかけた。
建築家は、依頼主の願いに適うべく用意された、美しい使徒では、と。
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新之介文庫の佐々木です。
「建築とは波動体である。
その波動のエネルギーによって、
生きとしいけるものに、大きな影響を与える」
水晶殿を造営した造営主は、
「美しいもので人心を育て、美によって品性を高める」と言った。
そして、箱根の強羅に名園を築き、名建築を、
熱海瑞雲郷には会館と共に、水晶殿を象徴的な美の結晶として造営。
著者が水晶殿の赤い絨毯の上で、導きだした答えは、
その建築がどのようにして造られていたかということで、
そこに関わる人間(生きもの)はその波動によって
生命としての健やかな再生を繰り返す、いわば再生装置となる・・・と。
この時、水晶殿の眼下に広がる景色は、無音で微風が著者の頬を撫ぜた。
随想『水晶殿』は装いも新たに、この12月より、増刷の運びとなりました。
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新之介文庫 佐々木広志 mellchan123@tg.commufa.jp
水晶殿の太陽を現わすという半円形ホールの真赤な絨毯の中央に坐る。
著者はその日、朝の陽光を浴びていた。
熱海市内を上空から見ると、全域がほぼ東南の海に面した半楕円地形で、
南を眺望できる場所が少なく、あってもそれは、ほんの一部である。
そして高さも関係する。
高台に上がっても、真鶴岬、三浦半島、房総半島、
南に白波の寄せる初島、熱海市街のその向こうには網代港などの伊豆半島東岸、
遠くの利島ほか、伊豆七島が眺望できる「ピンポイント」はここにしかない。
ホールの中央に坐ると、周囲のつつじ山は見えず、敷地周辺も視野に入らない。
まるで宙に浮いているようだ。
ここは『天地開闢(てんちかいびゃく)』以来この地が定まっていた』のである。
この時座して感じたエネルギーは、何かと何を結ぶ力で生命を浄める波動ではないか、と。
著者はこの体験を通し、建築は波動発源体そのものであることを発見する。
水晶殿は美しい波動体だったのだ、と。
(写真 2011・12・11 皆既日食)
新之介文庫の佐々木です。
朝日を全身に浴び、礼拝する、
ご来光を仰ぐ、
朝日は人間にとって凡てを再生させる、神秘の光である。
九十九里浜から昇った太陽は、
上総一之宮玉前神社(たまさきじんじゃ)の三の鳥居抜け、本殿を通り、
その光は寒川神社を経て、富士山頂を走り、
日蓮宗の霊山七面山(しちめんさん)の本尊七面大明神の尊顔を照らし、
そのまま島根の出雲大社を通り、
ネパールの釈迦の聖地ルンビ二に至る、、、、
これが、古代から我が国に伝わる、太陽の通り道といわれているものである。
造営主が天啓を受けたという、房総半島にある霊山鋸山、
造営主の生誕の地は東京墨田区、
この生誕の地から東に軸線を延ばすと犬吠埼、
そして南に線を下げると鋸山、
鋸山と七面山と出雲大社を結ぶライン上に、箱根神仙郷、
18度線で南に下がると熱海瑞雲郷、
そこから西に辿れば京都平安郷、
平安郷と鋸山を結ぶ線上に熱海瑞雲郷がある。
そして瑞雲郷の中心にあるのが「水晶殿」である。
偶然とはいえ、造営主のこの構想は・・・
熱海『瑞雲郷』
その中にある庭園は、造営主が自らが造った「地上楽園」のひな型。
この庭園と、二つの建物 『旧会館』と『水晶殿』は一連のもの。
その二つの建物を結ぶ一本の道。
それが、地中で繋がっている隧道(ずいどう・トンネル)である。
このトンネルの果す役割・・・
全長120メートル、高さが7尺(2.1メートル)、幅が6尺(1.8メートル)。
このトンネルから掘り出した土石は、すべて場内で使用処理されたという。
数年前、著者はこのトンネルのど真ん中に一晩座った。
和蝋燭の灯りだけで、香を焚き一人で。
水晶殿の周辺には特殊な磁力が強く、磁気的なパワーがあるのでは・・・
そこに目にはみえない「気」の流れがあることを、蝋燭の炎の揺れで知る。
物音一つしない静寂の中で瞑想を終えた、その後の清々しい爽快感。
今でも懐かしく思う体験である。
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