九天飛翔 誕生秘話
今回のポスターに載せていただいている ディジュリドゥ。
[僕は日本人なので 天然空洞木 と呼んでいますが]
この九天飛翔と名付けられたディジュリドゥの誕生秘話です。
木自体は オーストラリアの大地に誕生し 自然に空洞になった
ユーカリの木の筒です。表皮をはがされ 木肌そのものだったものに 僕がオーカと呼ばれる
天然の岩絵具で真っ黒に塗ったものを ご縁のあった 太田先生に
無謀にも デザインしてくださいとお願いをしたことから始まりました。
実は 僕は子供のころから 書に縁があり 書家 小野田雪堂に師事していました。
雪堂先生のご紹介で太田先生に出会いました。
太田先生が 木の建築家であることを知り しかも お寺や神社など
祈りの場を造られていることを伺った。木を吹かせていただいていて 木が大好きな僕は 太田先生の体験を通した話に
夢中になった。座禅三昧で 滝行などの修行もされ 精神を鍛えられ
木と語り合いながら 建築されてきた太田先生。
ある時 渦巻きの話になった、、、太田先生は 紋様にも深い見識があった。
僕は何故か、渦巻きに惹かれることを伝え、お守りにしている勾玉や
縄文の紋様 銀河...自然界にある渦巻きの話で花が咲いた、、、
僕は以前 オーストラリア図書館の中の古い書籍の中で 目にした
ある紋様に魂がすうっーとその中に引き込まれるような体験をしたことがあるんだ。
その紋様とは アボリジニの人々が 最も大切にしている聖なる紋様だった。
世界の各所に 起こったように アメリカ大陸はコロンブスによって
そして 1770年 ジェームズ.クック船長により オーストラリアは発見された!
そこに長い間住んでいる人々がいたのにもかかわらず、シドニー近郊に上陸して 英国旗を掲げ、
その地を英国領地と宣言した、、、
何十万年もの間 オーストラリアの大地を守り 共に生きてこられた アボリジニの人々の悲劇が始まった、、、
虐殺され 土地も奪われ 文化も失われかけた、、、
ドリーミングという価値観の中 瑞々しく生きるアボリジニの人々にとって
大地は 空へと帰って行った先祖が神々が 岩となり大地となり 今に生きるアボリジニの人々が
豊かに暮らせるように導いてくれる大切な神聖な場所だ。だからこそ 山も川も石も動物も植物も
雨や風にいたるものまで すべてのものが生あるものであるとして、大切にしてきた。
その大地が あっという間に奪われたんだ、、、クック達は新大陸を発見した英雄となった。そのかわりに
沢山の悲しい血が流れた、、、そのときに アボリジニの人々が最も聖なるものとしていた
渦巻きが刻まれたものも 奪われた。 そしてそれは近年まで大英博物館に展示されていた、、、
今では アボリジニの人々がどれだけ大切にし 神聖であり重要なものであるかということが 理解され
博物館では公開はしなくなった。 僕はいつの日か アボリジニの人の手に戻されることを願っているが、、、
図書館で目にしたこの聖なる紋様が刻まれたもの
[実は名称があるのだけれど、アボリジニの人々は、あまりの神聖さにその名前さえ口にすることを畏れているので 名称は伏せさせていただきます。]のコピーを僕は自宅に持ち帰り
祈りの場に置き いまだに毎朝祈りを捧げているんだけれど どうしても太田先生に見ていただきたく
一枚だけコピーをし 事務所に送らせていただいた。
太田先生から 驚愕したとの電話をいただいた。ノブさん あれは 聖なる曼荼羅や宗教的に大切にされているものと
同じ、すなわち 宇宙そのものが、神が描かれているよ、、、そんな会話をしたのを覚えている。
そして 僕はその後 太田先生の圧倒的な凄さを知ることになる。
三島の事務所に伺った時だ。太田先生がこんなことを言われた。実はね ここ数日 夜中の2時ごろになると
あの紋様で頭がいっぱいになっちゃってね。 もうどうしようもなくなって書いちゃたよ。
と ポスターくらいの大きさに描かれた 何枚ものあの紋様を見せてくださった。
太田先生はこんなことを口にした、、、なんで書けるんだろう?なんか知ってるんだよな、、、
日本人として 祈りの世界で、身を清め精進し続けてこられた太田先生だからこそ
紋様という形の向こう側にある 見えない世界 最も大切なことが感じられるんだろうなと思った。
世界中で現される 神々の世界は、形は違ったとしても
本質は世界 宇宙共通のものなんじゃないだろうか、、、そんな直感がした。
そして しばらく時が過ぎ、 僕が、真っ黒の木の筒を持って デザインをお願いしますと太田先生の前に現れた。
僕は何が描かれるのかは まったくわからなかった。すべてをお任せしたんだ。
そして 誕生したのが ポスターにある 銘 九天飛翔[ディジュリドゥ]だ。
太田先生は 僕がアボリジニの人々の伝統的な顔料で真っ黒に塗った木の上に
日本の伝統的な 漆で 漆黒の闇を生み出した。その宇宙空間にまるでUFOが飛ぶかのように浮かぶ
二つの渦巻く聖なる紋様。これは 金箔と 緑 赤の漆で描かれている。
渦巻きは古事記にも出てくる 三種の神器 勾玉[渦巻きの中心の形]とも共通する。
そして 闇を切り裂くような 光 すなわち 雷がプラチナで描かれていた。
これには 本当に驚いた。アボリジニに伝わる神話では 伝統的なイダキ[ディジュリドゥ]を吹くと
雷を呼ぶ そしてイダキの音は西風に乗って イダキの聖なる地 ゴロオロにたどり着く、、、
雷は アボリジニの人々、ディジュリドゥにとって重要なものだ。
また 雷は僕たち 日本人にとっても 重要なものだ。
アボリジニにも共通する自然観がある 日本の古来からの八百万の神々の世界、神道の世界では
神 という文字は 示 と 申 から出来ているけれど
示は祭壇の意味。 申は雷の意味だ。
祭壇で 雷が申す 雷は 神の声 そのものだったのかもしれない。
これを 浮かび上がるように 描いてしまった 太田先生に本当に驚いた。
平な所に描くのではなく 曲線の木の表面に描き出すのだから、、、
太田先生は 最後に ノブさん 木が呼吸できるようにしておいたからねと
表皮が見えるところも作ってくださっていた。
太田先生は 木の心もおもんばかる。素敵な木の建築家だなぁって 思った。
これが 九天飛翔 の誕生物語です。
和楽器にも見える この 神々が描かれた 聖なる木に祈りをこめて吹かせていただいています。
太田先生 ありがとうございます。
深謝九拝 KNOB拝


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