「早川」
通信 -006
「早川」
代表 長津 喬
20数年来会いたいと想っていた人に、『春分の御来光を七面山で仰ごう』と声をかけてくれた友人のお陰で会うことができました。
前日の19日はまことに素晴らしい天候でしたが、春分の日の20日は未明から雨になり、残念ながら御来光は仰げませんでした。ほうほうの体で下山し、気を入れ直して長らく想っていた能面彫師、久村哲生さん宅に仲間(9人、登山途中で知り合ったオーストラリア人のアレックス・ブラウン君も含んで)と伺いました。
御本人の眼差しは、初めてお目に掛った20数年前と寸分も違わず、相変わらず涼しい目をされていて我々を迎えてくれました。奥方様や娘さんも年月を感じさせない爽やかさで「朋の遠方より来るあり、亦楽しからずや」を地で行く歓待をしてくれました。
山梨県巨摩郡早川町は、南アルプス東側に位置する、地形的にはかなり険しい地域です。住むのには決して便利とは云えそうにありません。私のような俗人から見たら「樵隠」と言った風情の御家族です。彫られた能面の裏側というのは仲々目にする機会がないのですが、この日は仲間ともどもじっくりと拝見させて戴きました。有難いことでした。
“ 能面が 春の微風の 如く居て ”
さて、この七面山登山(1982mもあるとは。迂闊でした)は、30代から60代の9人でしたが、自ずからふたつのグループに分かれてしまい、私は当然のことながら後続部隊に自動配属?され、先発隊に遅れること約2時間で到着しました。
年齢と体力を正確に認識させられたわけです。『あ~、若かった頃なら半分位の時間で登れたのに…』などと嘆いても後の祭りです。
途中休憩しながら眺めると遥か眼下にに早川の急流が見えました。あの急流もいずれはゆったりした太平洋に呑み込まれのだと思うと、自分の心中にあるドロドロとしたものが時と共に浄化されるのか知らん、などと他愛もないことをボヤッと考えたりしていました。
年寄りを気遣いつつ共に時を過ごしてくれた仲間に感謝します。
“ 早川も のたり昼寝の 海に向け ”
(2009・3・23)