「掌」
通信 -005
「掌」
代表 長津 喬
30才かそこらの頃、我が掌を眺め、『俺には何の才能があるかな。具体的には何ひとつないなあ』と思ったことがありました。
その頃、とびきり秀でた才能を感じさせる男に出会い、より一層その思いを強くしました。
同郷に生まれ、同じ高校に通い、その後10年程会わなかっただけで、書、絵画、茶の湯、文章、禅的体現等々、凡ゆる分野の見識に於いて彼我の隔絶を強烈に覚える衝撃でした。
こういう才能を持った人間が居る、と気づいた者はどうすべきでしょうか。
このことが、その後の私の命題になりました。
いま、私が見出している答えは、『その男の才能を余すことなく発揮する為の手助けをしよう。それを自分の楽しみとする』ことです。
大雑把に言うとこのような経過で、その男、太田新之介君のすることが、私の問題でもあることになりました。彼が揚げている「この国の文化を、かた・かたちに表わす」、「次代を担う若人達にそれらを伝えていく」、「歌舞音曲で多くの人々に楽しんで貰う」の3つの主題に、全面的に賛意を表します。
3年前の東京上野の奏楽堂、一昨年の熱海MOA美術館能楽堂に続いて、今年11月29日に3回目の「和の心にて候」の催しを再度熱海で開くことになり、これに関わることになりました。
先日、この為の同志が熱海に参集し、顔合わせ会を兼ねて能楽堂、梅園、芸妓見番ほか市内見学をし、まことに楽しく、かつ、有意義なときを過ごしました。
実に素敵な仲間に出会うことに心底感謝の念で一杯です。
11月に向けて、大きな光明を見つけた一日でした。
” 梅の香や 湯めまちをどり 華の舞 ”
(2009・2・26)