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華の舞

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「兵ちゃん今晩は。行ってきたの?」
「熱海ね。行ってきたよ。総勢250人いるそうだよ」
「どうだった?」
「聞きしに勝るね。日本一かも知れないね」
「都々逸やってきたの?」
「やってきたよ。保乃加姐さんと一発」
「兵ちゃん聴かせて」
「見番があるとこが糸川べりで、…ん」


ioriten.gif君の色香につい惑わされ 通う糸川華の舞(286)
「兵ちゃんの即興なの?」
「温泉上りに掛け合いでね」
「お返しは?」


ioriten.gif又も二人が出会ったからにゃ 思うばかりじゃいられない(287)
「まあ、素敵なこと。そのお姐さんなの?」
「そうだ。小粋な地方さんでね」
「もうひとつ」
「ハコのお姐さんが爪弾きながら、…ん」

                       

ioriten.gifアタシ旬なのあなたはサカリ 息が溶け合う春の宵(288)
「まあ、奇麗だこと。溶け合うなんて妬けるわねぇ」
「さすが本場熱海の芸者衆。レベル高かったね」
「立方は?」
「舞も想像以上だね」
「じゃ、今度はアタシから、…ん」


ioriten.gif待っていたのに何故来ぬあなた お座敷帰りの月が泣く(289)
「磯千代姐さん寂しい思いをさせたようだね」
「そうよ、兵ちゃんのいないお座敷なんてつまらなくて」
「タマも寂しかったニャーン」
「タマ、芸者の真似なんかしてどうしたのよ」
「タマ、寂しくて妄想にふけってたニャーン」
「お前は違うことにふけってたんじゃないの」
「それじゃ、タマのために、…ん」


ioriten.gifタマが寂しいひとりの座敷 思い出しては慰める(290)
「兵ちゃん、それって意味深じゃない?」
「そうか?…ん」


ioriten.gif熱海芸者と糸川桜 色も実もあるあで姿(291)
「へー、よっぽど良かったのね」
「もうひとつ、…ん」


ioriten.gif熱海をどりの芸妓の舞は 能の舞台で華となる(292)
「熱海の芸妓さんは、能舞台でも舞うの?」
「今年も舞うそうだよ」
「芸者の鏡だわ、大したものね。何方かがいるの?」
「姐さんと同じくらいの芸者さんらしいよ」
「兵ちゃんアタシも見に連れてって」
「11月だそうだよ、行ってみようか」
「タマもお願いニャーン」
「タマごめんね。ひとりでタマ遊びでもしていてね」
「アタシも熱海で売り出そうかしら」
「うーん、何ともいえないなぁ」


                                            


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