ついでね
「兵ちゃん今晩は。タマも相変わらずね」
「姐さん、今夜はグレーの着物で決めてきたね」
「すてきニャーン」
「タマもこの頃アタシの美しさが分かってきたようね」
「きものニャーン」
「このタマメタボめ!」
「姐さん、今夜は少し荒れてるね」
少し今夜は酔いたい気分 独りぽっちが身にしみる(206)
「姐さんどうしたの?」
「せっかくのお座敷なのにごめんなさいね」
「いいんじゃないか、長い人生にはよくあることだ」
「優しい兵ちゃん。優しいついでに聞いてね」
「いいよ」
「この前ね、お友だちが遠くへ引っ越したの。…もう寂しくて」
「その歳じゃ新しい友だちは無理かな」
「もう無理ね。今は人間何のために生きているのかしらって…」
「こんなのは、…ん」
生きている ためも意味などありゃしないのに あると思えと人はいう(207)
「兵ちゃん、人生に意味はないの?」
「ボクは若い時からそう思っている」
「じゃ、何で生きてるの?」
「そうだなぁ、生きてるついでかな」
「生きてるついで?」
人間は 生まれて食べて死んでくだけで 何の不足があるものか(208)
「よく考えてみると、どうも人生はこれだけだね」
「兵ちゃん、生きているって意味があるし、無駄なことはないっていうわよ」
「姐さん、そしたら今、何のために生きてるかって悩むことはないね」
「そういえば、そうね。生きてるついででいいのかしら…」
「意味があると思ってるから、何かにぶつかると、人生に意味がなくなったと錯覚して自殺なんかをするんじゃないのかなぁ」
「人生に意味がなくてもいいの?」
「もともとないんじゃないのかな。あるように教えられてるけど」
「だって、家族がいるひともあるわよ。拉致被害者の家族なんてどうするの」
「その人に関わる人にはあるけど…。人間そのものの人生には意味はないと思うね」
「そう? アタシからひとつ、…ん」
生まれ恋して嬉しさ辛さ 意味がないよな歳になり(209)
「歳じゃないんだよなぁ。人生の実相のような気がするよ」
「兵ちゃんはどうしてそんなに平気でいられるの。それってやっぱり消極的な生き方じゃないの?」
「ボクの喜怒哀楽は激しいよ。ただ、それも生きてるついでに、と思うんだ」
「お勤めしている方なんか、会社がなくなったら、それもついでっていってられるの?」
「それは重大な生活の危機だね。だけど、人生の危機じゃないね。生活の危機と人生の危機が一緒だと思うと、もう先がないって思うようになるんだ。ここをよく考えてみる必要があるね」
「じゃどうするの?」
何が起きても不思議じゃないが 生きてるついでで楽になる(210)
「兵ちゃん解ったわ、それを、その状況をそのまま受け入れるのね」
「そうだと思うよ。今を生きるんだ。そこからまた生きられる」
「お友だちがいなくなるのも、生きてるついでに起きること…」
人生に意味がないのが倖なのよ 食べてはたらき寝て起きる(211)
「兵ちゃん、だんだん元気がでてきたわ!」
「姐さんツボミに戻ってきたね」
「もうひとつ」
あなたついでに生きてるけれど ツボミもついでに咲かせたら(212)
「遠慮しておこうかな。だけどいいね、そのまだ咲こうっていう錯覚は」
「いいわねぇ兵ちゃん、人生って素敵だわね」
「タマも笑ってるよ…あれ」
「タマ、突然何を持って踊りだすのよ!」
「二人をお清めニャン、ついでニャーン」
「二人のどこをついでに清めるんだ?」
「ばかタマ! 何を錯覚してるの!」
「磯千代姐さん、新月も近いから送ろうか」
コメント (2)
きもの姿のふっくらタマ、素敵です。(*^_^*)ついでに起きる!!そっかーそうなんですえね。失望と言う言葉が地球上から消えて皆が幸せに暮らしていけます。娘にも教えてあげなきゃ!
投稿者: みりんちゃん | 2008年11月17日 06:32
日時: 2008年11月17日 06:32
みりんちゃん、ありがとニャン。
むすめさんによろしくニャーン。
投稿者: タマ | 2008年11月19日 17:46
日時: 2008年11月19日 17:46