野暮ね
「磯千代姐さん今晩は。タマ、今晩は」
「兵ちゃん、今夜はいい月ねえ、三味線の音も良いようね。じゃ早速…ん」
私ゃ芸者で主(ぬし)ゃ遊び人 月が妬いてる 四畳半 (5)
「いいねえ、今夜は冴えてるねえ。それじゃボクが……」
三味線つまびき都々逸やって 浮世の垢を流そうか (6)
「ねえ兵ちゃん、随分お見限りだったけど何処で遊んでたの?」
「色々ね。この頃は何でもかんでも地球温暖化だろ、口をきけば
温暖化、こっちを向いても温暖化。何とも不気味な世相だなあ」
「ほんとに厭ね。一発いきましょうか!」
何よこの頃温暖化とは おこがましいのよ人間は (7)
「磯千代姐さん、このおこがましいので売り出したらどう?」
「兵ちゃん、だって人間は勝手よね。自分ちで汚しておいて地球を守ろうなんて、
おこがましくて腹が立ってるの。…今度あんたの番よ!」
「はい、はい」
環境なんぞは口にはすまい 環境で食ってる腹黒さ (8)
「乗ってきたわ。もう一発、字余りで!」
地球を守るというのは野暮ね 本当のとこは見せないて (9)
「いいねえ……、よしボクも!」
守ることなど考えずとも 地球は震え雨降らす (10)
「四川省の地震や、ミャンマーのサイクロンね……」
「姐さん、どう、もうひとつきついやつ」
「そうね、……こんなのどうかしら?」
この地球(ほし)を 守りたいなら車に乗らず 電気使わず 早く寝て (11)
「早く寝る?……少子化対策か?。困ったなあ今夜は歩いて帰るとするか」
「どうもみんな言ってることと、やってることがずれてんじゃないの。ホントにその気なら
一週間ほど国が夜の九時以降電気を消せとか、言ったらどうなの」
「そうだよなあ、本気じゃないんだよ。それじゃあこっちは本気をだしで」
天地自然が神々ならば 何も造らず壊すまい (12)
「不生不滅 不垢不浄 不増不減…」