ショッテルね
「兵ちゃん、日本選手がんばってるわね」
「そうだね、小さな国の大きな力を感じるね」
「それにしても若いのに立派よね」
「国をしょってる感じが頼もしいね」
「国なんて背負うより、アタシを背負って欲しわ。どうこんなの」
国を背負うならアタシを背負って ショッテルあなたに背負わせたい(122)
「ショッテルって、ボク?」
「フフフフ」
「今の若い人、ショッテルって分かるかな。だけど、ボクはもう無理だね。全身の軟骨がすり減ってるよ」
「ウソおっしゃい。まだこれからだと思ってるでしょ」
「思いはそうだけど…。こんな古い都々逸があったな」
種蒔かぬ岩に松さえ生えるじゃないか 思うて添われぬことはなし(123)
「宮城県の松島ね。思いが強ければ必ず叶うと…。あの人と一緒になれると」
「何事も続けることだね。続ければ必ずそれに近づく」
「この頃は仕事に沿った体つきがなくなってきたわね」
「芸能かスポーツ選手くらいかな。職人も分からなくなってきた」
「こんなのどう、…ん」
五輪競技を寝そべり見てる 輝く選手野暮な主(124)
「ビールが旨いね。メタボリックスイミングだな」
「何もしてない殿方は野暮ね」
「いいんじゃないの。税金出してさせてやってるんだから」
「そうね、もっと野暮なオジサンたちが多いからね」
「最近は、テレビでいい大人が頭を下げて謝ってる姿が多かったからね」
「五輪が終わるとまた、ゾロ出てきそうね。アタシのお友達が…」
体操選手が昔のカレに 似てることはと手に鏡(125)
「まさか、自分の子どもではないかと?」
「それで」
「名乗り出て聞いてみようかって」
「それこそ野暮だね。胸を躍らせてそっと見守ってやればいいんだ」
「惻隠の情っていうのね」
「もう、真夏の日差しも朝晩は秋の気配だね」
「五輪を見ると、どこかの国と違い、日本は本当にフェアーな国ね」
「お盆は自分の良さを取り戻すいい風習だね」
精霊トンボが舞ってる先に 父母の顔祖母のかお(126)
「いつまでも心の中に生きてるわ。親は自分がボケるまで一緒ね」
「何時でも辛い時はその顔が頼りだな」
「皆に何処かに必ずある顔ね」
「ボクなんか、親が悲しむようなことはするまいって生きてきた」
「いのちは粗末にできないわね」
「特に子どもは未来そのものだからね。ボクも未熟で未来そのものなんだけど」
「でも、兵ちゃんそんなこと言いながらオナゴを口説いてるんじゃないの」
何にも知らぬとあなたは言って 何でも知ってることをする(127)
「姐さん何か知ってるみたいだね」
「当たらずとも遠からずね」
「おい、タマが酔ってるみたいだよ」
「タマ、そんなに呑んで大丈夫」
「タマニャーいいニャン」
「親のかおを思い出したのかしら」
「今夜の満月は潤んでるね」