なつかしいなぁ
「姐さん今晩は。朝晩少し涼しくなったね」
「今夜もお座敷かけて頂いて有難う。タマも元気ね」
「この夏、姐さんもタフだね」
「まだ若いからね。オリンピックはお仕舞いね」
「光陰矢の如しで、あっという間だね」
「この前初めてなのに、なつかしいなぁっていう人に会ったわ」
「前世で会ってるかもね。こんなのどう、…ん」
あなたとは 初めて会うのに何処かで会った 髪を解くよななつかしさ(128)
「ある、ある。なぜかなつかしいのが。それにしても女が髪を解くって、意味深ね」
「なつかしさって、日本的なんだよ」
「心のふるさとみたいなものね。どうこんなのは」
会ったことあるあなたと確か 口説き文句も見え見えと(129)
「そうか、見え見えだったか」
「そう言って、いつも口説文句にしていたでしょう。」
「そうばかりでもないよ。先験性というか、実際そう感じることもあるよ」
見たことないのに見たよな景色 懐かしがってる胸の内(130)
「そう言うのあるわね。日本人しか解らない情感?」
「外国語でピタッとくるのがないようだよ。フランス語のデジャ・ヴユが近いらしいが」
「兵ちゃんのフランス語は危ないからね」
「シャンソンにあるんだよ」
故里を 思い出しては涙を浮かべ 口説き上手の懐かしさ(131)
「なつかしさって、なぜか気持ちが静かになるわね」
「心の中の原点みたいなものだな。ボクらはこのなつかしさで故郷や、親や恋人と往復運動しながら生きてるんだ」
「なつかしさはすごいパワーかもね」
「口説いてから泣くこともあるが…」
鴬め 散々焦らせてその気にさせて 何で隣の枝で鳴く(132)
「辛い切ないなつかしさねぇ」
「なつかしさは、何にも勝る安らぎへの良薬だね」
「それにしても、この頃振り込めサギとか、何の鳥だか知らないけれど、安らぎのない時代ね。個人情報ってのもうるさいわね」
「姐さんは詐欺にひっかからいな」
「そんなことないわよ。純情だから危ないわ」
「どうかな。今、ブログってのも流行りだね」
「どう、こんなの」
何がブログよ暴露の日記 日本国中露出狂(133)
「そうだよな」
個人情報って隠してるのに 晩のオカズもばらしてる(134)
「ホントに笑っちゃうわね」
「まさか兵ちゃんはブログ魔じゃないわよね」
「ボクはフロクで生きてるから…」
「タマが静かに微笑んでるわよ」
「なつかしいなぁ、故里の海…」