モットモット病
「兵ちゃん今晩は。浴衣姿が素敵ね」
「姐さんも歳を感じさせないね」
「アタシ、還暦から歳がひとつずつ減ってるの」
「そうすると50くらいか、40代にしか見えないね」
「女は40半ばが大輪の花よ」
「いいね、この錯覚は」
「フフフ、どうこんなの」
誰も盛りは気づきはしない 気づく頃にはお迎えが(116)
「そうだなぁ、いつまでも盛りでいると思っているよな」
「アタシはこれからだけど…」
堪らないのよその錯覚は 悶え悶えてシワの数(117)
「いいのよ、そのくらいで」
「習慣性サッカクシワヨリ症候群だな」
「何よそれ」
「病名だよ」
「へー、余り聞かない病名ね」
「古くからあったと思うよ」
「今度お医者さまに聞いてみます。それにしても食の安全が心配ね」
旬を無くした食べ物哀れ 自然の摂理が仇をなす(118)
「姐さん、格調高いね」
「その内、人間にえらいしっぺ返しがくるわよ」
「もう来てるんじゃないか。遺伝子に異変が起きてるっていうから」
「でも、日本人は長命ね」
「自然が生んだものを食べてた年寄りが多いんじゃないのかな。だけどこのままじゃ短命国になってくるね。食糧自給率を上げるのがこれからの課題だな」
「タマもよく肥えてるわね」
「タマは只の食い過ぎだよ。メタボだよ」
「大きなお世話ニャン」
こんなにあるのにモットモット モット病なのいつの世も(119)
「欲には際限がないからね」
「どこかで誰かがブレーキかけないとね」
「日本人しかできないかもしれないね」
「そうね、まだ自然の民って気分がDNAに残っているかもね」
「日本人しか解らないバランス感覚があるんだよ」
「欲張りっていえばね」
逢っているのに寂しい恋は 別のお方に逢えぬ恋(120)
「何か分かるような気がするな」
「人間って複雑ね」
「そうは問屋がおろさないけど、これが自然の摂理だね」
「やっぱり人間は欲張りね」
「日本人はこれをふんわりオブラートに包んで笑いに変えてるね」
「都々逸もそうね。今の時代には少なくなった情感ね」
「姐さんはズット自然の摂理にそって生きてきたんじゃないの」
何で知ってるアタシの思い「そうか」一緒に生きている(121)
「一緒に生きてると分かっちゃうのね。そんな人がいるだけで幸せなのね」
「いなくなると分かるか。…きっと、そう思える自分が好きになるんだよな」
「タマが嬉しそうな顔してるわ」
「気持ち良さそうに。ここに一緒にいることが嬉しいのかな」
「あら、タマが踊りだしたわ」
「ウンニャー、タマらニャイン」