蚊帳の中
「兵ちゃんいよいよお祭りね」
「いいなあ、ワッショイ! ワッショイ!」
「日本人が心をひとつにして輪になる瞬間ね」
「タマも疼くのかしら…。どう、こんなの」
祭囃子が聞こえてくるよ 大和心が疼く夜(67)
「男どもが一番かがやく日だよなぁ」
「普段はしょんぼりしてるけど、惚れぼれするわね」
「女性も見違えるね。…ん」
法被姿に手拭い立てて 粋なアネさん腰団扇(68)
「日本の夏だわね。それにしても日本人はお祭り好きね」
「全国で30万ほどの数があるようだよ」
「へー、何でなの」
「神様仏様、ご先祖さん、死んだオバアチャンたちに喜んでもらいたいからやるんだそうだ」
「へー、それでどうなるの?」
「自分が、今度は人間たちが励まされるんだね」
「神様たちと一緒になってるのね。それで力がでるのね」
「自分もいずれそっち側へ行くからね」
「日本人は素敵ねぇ。兵ちゃんやって!」
わっしょいわっしょい神輿を担ぎゃ 和を背ぉうオノコになりにけり(69)
「それでみんな故郷に帰ってくるのね」
「和の中に浸れるからね」
「兵ちゃん、そういえば日本の夏には蚊帳があったわね」
「雷さんが来ると入ったね。良い風情だねぇ」
蚊帳の中から月空見れば 扇ぐ団扇にかかる息(70)
「粋ねぇ。かかる息って、女の息? 何だかメスが燃えるわねー」
「ボクの家ではまだ使ってるよ。冷房ないからね」
「メスの蚊も季節感があっていいわねぇ」
「タマが笑ってるよ」
タマを撫でてるあなたが憎い 私もタマも同じメス(71)
「お祭り気分だなぁ」
「兵ちゃん、今夜はお祭りにご一緒させて」
「タマが団扇で扇いでるよ」