和の心にて候 Top

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2008年12月07日
あと三つ

hp-63.jpg                                                                                                                                                       
 
 
 
 
 
 
 
 
 

     


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「姐さんいよいよ今年もあと半月だね」
「開運の神様をお祭りする酉の市も、今年は三の酉まであったわ」
「この年は、元気すぎて火事が多いといわれているね」
「火の用心、火の用心」
「暮になるといい都々逸があるね」
「兵ちゃんひとつやって」


ioriten.gif色と情の女と男 鐘を聴き聴き夢を見る(220)
「除夜の鐘ね。アタシもひとつ、…ん」


ioriten.gif明けの鐘ゴンとなる頃仲直りしたら すねた時間が惜しくなる(221)
「古典だね。これは若い時分のことだね」
「今じゃ生きてる時間が惜しいね」
「そうよ、アタシゃ生きてる時間が惜しいわ」
「歳をとると、感じ方が全く変わるな」
「だって、明けの鐘まで起きてなんかいられないもの」
「葬送の鐘だね」
「まあ、兵ちゃんいやね。じゃ、口直しにもひとつ古典ね、…ん」                        

ioriten.gif去年の今夜は知らない同士 今年の今夜はうちのひと(222)
「そうだね、人の出会いは突然だものね」
「アタシゃ暮になると、この出会いにかけてるのよ」
「宝くじと同じで確立低いニャーン」
「タマ、長いセリフをいうんじゃないの」
「タマもかけるニャーン」
「一緒にしないの!!」
「じゃ、今度ボクが、…ん」


ioriten.gif火燵の中で聴いてる除夜の 鐘の響きで手をにぎる(223)
「いいわねぇ、おコタの中なんて」
「ボクはコタツが好きでね」
「おコタの中で手を握るなんて、色気があるわねぇ」
「コタツの中で見てるニャーン」
「バカタマ!」
「こんなのは?」


ioriten.gif何もかも ほっかむりして鐘の音聴けば 開けた途端にチャラになる(224)
「チャラっていいわね」
「日本人は除夜の鐘を聞いて年が明ければ新しい人間になれるんだよ」
「そうね、昨日の顔を忘れてもう別人ね」
「そうさ、別人28号さ」
「兵ちゃん少し古くない?」
「もひとつ」


ioriten.gif有難や 除夜の鐘聴きゃ悩みは晴れる 晴れぬ煩悩あと三つ(225)
「煩悩が百八っつより多すぎるのね」
「どうもそうらしい。だから正月になっても悩んでるんだな」
「お正月は罪、ケガレを払えるのよ」
「日本人はすごいよなぁ。クリスマスには愛を、除夜には煩悩を、正月は罪ケガレを払うものな」
「それだけ、多く身体にくっついているんじゃないの? 日本人って」
「少なくとも磯千代姐さんはそうかも知れないね」
「きっとそうニャーン」
「タマ、三味線の革になりたいの!」
「タマ、ツブレルニャーン」
「兵ちゃんこんなのは?」


ioriten.gif松の操がアタシの良さで ドジで浮気が主の良さ(226)
「姐さん操っていう歳だけど、もうとっくに喪失してるんじゃないの」
「まあ、兵ちゃん失礼ね。アタシゃ操が堅くて生きてんのよ」
「必要なくなっているニャーン」
「タマ、剥いてやるからね!!」
「姐さん年の瀬だけど、ゆっくり行こうよ」
「兵ちゃん、温泉にでも連れてってね」

2008年12月14日
夢なのね

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「兵ちゃん今晩は。今夜は珍しくスーツね」
「背広も少しは持ってるんだ」
「背広って古いニャーン」
「タマ、生意気いうんじゃないの」
「姐さん生意気っていえば、友人が部下に生意気な奴がいて困ってるって」
「仕方ないわ、生意気と錯覚は人間の特権なのよ」
「そうだね。人間は誤解と錯覚のかたまりかも知れないね」
「そうかもね。アタシなんかそれで人生別コースになったのよ」
「どう、都々逸で」
「こんなの、…ん」


ioriten.gif何もないのにあるよに言われ 言われついでの雨宿り(227)
「そうか、それで道が逸れたのか」
「その人がやきもちやきで、何でも自分のことに当て嵌めてるの」
「まあ、誰でもそんなところかも知れないけど…」
「兵ちゃんはなかったの?」
「そうだね、…ん」


ioriten.gif鬼門方向に歩いていたら 女一人が目で招く(228)
「これって、ちょっとこわくない?」
「相当怖いね。いい女だったけど」
「それでどうなったの? 誤解されたの?」
「さあーね。ボクは不思議と救われることがあるんだ」
「誰かが守護霊となって…」
「そうなんだ。どうも死んだお袋がどこかで守ってくれてる気がする」
「素適なことね。殿方が道を外すのは守護霊がいない時よ」
「守護ねぇ。姐さんにはなかったの?」
「誤解の神様が居ついてたのね」
                       

ioriten.gif道が別れた二人のさだめ 別れて良かったこともある(229)
「姐さん、楽でいい人生観してるね」
「ホントはいいことばかりじゃないけどね」
「まあ、人生半々だね」


ioriten.gif忘れたいのよあなたのことは 忘れないから忘れたい(230)
「姐さん、分かるなぁ。夢に出るんだね」
「兵ちゃんもやって」


ioriten.gifまたも涙が出て止まらない 思い出してる母の笑み(231)
「兵ちゃんはやっぱりお母さんが出てくるのね」
「母は強いニャーン」
「タマ!子どもをつくってからいうのよ」
「つくり方は知ってるニャーン」
「バカタマ! 兵ちゃん口直しで」


ioriten.gif知ってる筈なしあのことだけは だけど寝言で話てた(232)
「人間はウソをついても寝言でしゃべるって…」
「寝言が真実じゃないのにね」
「いや、高山寺の明恵上人じゃないけど、夢の中が真実の人生かも知れないね」
「夢日記ってやつね…」
「ボクは夢の中で人生を過ごしてきたような気がするね」
「夢と現実は一緒かもね」
「どちらが夢で、どちらが現実か、分からないね」
「人生、夢まぼろしの如しって信長も謡ってる」


ioriten.gif恋しいカラスと所帯をもてば 夢のほつれが早く来る(233)
「やっぱりアッホーか、夢がなくなるとつまらなくなるのね」
「夢が人間を生かしているからね」
「人間、夢があるうちゃ大丈夫ってことね」
「そうだね」
「タマも夢があるニャーン」
「どんな夢?」
「いい男がくる夢ニャーン」
「タマは夢があっていいね」
「兵ちゃん、猫にもあるの?」
「タマの目に映ってる。夢が有るって」
「角まで送ります」

 

 

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