2008年09月01日
お月さま
「兵ちゃん今晩は、タマも相変わらずね」
「姐さん、今夜の呂の着物、洒落てるねエ」
「アタシは日本の女の鏡かも」
「その自信がタマらニャイン」
「タマもこの美しさが分かるのね」
「いいねぇ、着物は」
「芸者がドレス着たらどうなるの」
「日本の姿がなくなるね」
「この頃日本の良さが分からない殿方が多くて、お座敷に上がっても退屈で…」
つまらないのよ貴方といても 鯛が靴履きおおあくび(142)
「タイがクツはくか…?」
「アタシ、生きてくのに退屈が一番いやなの」
「そうかも知れないな。ボクなんか殆ど暇つぶしの人生、退屈しのぎだなぁ」
「こんな狂歌があるわ…」
≪人の世はないものねだりに暇つぶし色と欲とにやきもちからめて≫
「言い得て妙だなぁ。人生はそんなもんかも知れないね」
「もうひとつ…ん」
あなたの台詞はホワイトキック 言わぬが花よ目で言って(143)
「口をきかなきゃいいのに。シラケルお人がいるの。目で迫ってくれれば何でも許しちゃうのに」
「へー、姐さんまだ許すようなものがあるの?」
「失礼な兵ちゃん! 七十半ばはまだツボミよ!」
「ははー、失礼仕りました」
「これから月のきれいな夜が多くなってくるわね」
「日本人は月と話をするのが得意な人種らしいよ」
「そうね、長唄や都々逸にも月の唄が多いわね」
「西行も花の歌より月の歌の方が多いんだよ」
「へーそうなの、お話ができるお月さまが有難いねぇ」
「姐さん、月のをひとつ…」
知れば別れになるのが辛く 黙っていたのお月さま(144)
「言いたいことも言えない時って辛いわね」
「お月さんには言えるんだなぁ」
「お月さまにお願いするのよ」
「また貢いでくれる男が出ますようにって?」
「兵ちゃんのバカ!」
「ボクはこうかな」
月の青さを知ってる奴は 何も言わずに独り酌む(145)
「まあ、粋だこと。空の青さを知るのと一緒ね」
「何かにつまずかなくっちゃ分からない心境だね」
「人生はつまずきがなかったら味気もないわ」
「つまずきは料理ならスパイスとかコクだね」
「だって、人間は生まれて食べて死ぬだけのことでしょ」
「姐さん深いね、何人につまずいてきたの?」
「ヤーね、忘れました!」
「若い頃はどんな娘さんだったの?」
「今の方は…ん」
昔アバズレ今マタズレて ズレたついでに尻を見せ(146)
「うん、そうだね。多いね、尻出しが」
「アタシはお尻は出さなかったわ。厳しく芸を仕込まれたから…」
「何かずっと続けられるものがあるといいんだなぁ」
「仕事でも何でもね。それと会話しながら生きていけるのよ」
「それとお月さんか。じゃボクも…」
道が別れた二人のさだめ 月が見ていた泣いていた(147)
「兵ちゃん何か思いだしたのね。お月さまも一緒にって…。日本人の情緒ね」
「自分と月の間の距離に思いを届けるんだな。淡い光に乗せて…」
「何ていい情景だこと」
「そう言えば、じっと月を見ている時間が少なくなったなぁ」
「体の動きが鈍くなってるのにね」
「じっとするか…」
じっとしててとお前は言うが 堪らないのだこのモグサ(148)
「今はこんな光景かな」
「タマにゃわからない光景ね。お澄まししてるわ」
「タマにモグサニャンて?」
「兵ちゃん、月夜のお座敷帰り送っていってね」
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ささヤン on こぼれる:
つがいのよさと、ひと
タマ on 白いえり (英訳):
コメントありがとニャ
みりんちゃん on 白いえり (英訳):
いつも微笑みながら読
みりんちゃん on ごっこネ (英訳):
まみさん。都都逸も英
ささヤン on 白いえり (英訳):
お久しぶりです。
タマ on ついでね:
みりんちゃん、ありが
みりんちゃん on ついでね:
きもの姿のふっくらタ
兵衛 on 雲が出てきた:
≪ 雲の行方は誰もが
ささヤン on 雲が出てきた:
絶妙な雲の出番は お