和の心にて候 Top

« 2008年06月 | 兵衛・磯千代都々逸集 風刺花伝 Top | 2008年08月 »

2008年07月01日
まだツボミ

RIMG0019-2.JPG                                      


                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           
 
 
 
 
 
 
 
 
 

     

「ネエ、兵ちゃんこんなのどう」


ioriten.gif好きと言わせてどうする貴方 月も目を閉じ見ないふり(44)
「いいねぇ。流石磯千代姐さん! 雲に隠れて見ないふりか…」
「時には見ないふりができると、ゆったり暮らせるのにねぇ」
「もうひとつ」


ioriten.gif昨日見かけた素敵な貴方 今日はハナクソほじってる(45)
「こういうのは、見ないふりがいいなぁ」
「兵ちゃんの可愛いとこよ」
「そうかなぁ?」
「ところでこの頃、変に威張っている人が多いいのよ」
「ストレスの塊みたいなのがいるからなぁ」
「いや、自信がないのよ。自分が信じられないんじゃない」


ioriten.gifあなた一人が立派じゃないの あなたなくても困らない(46)
「そうか、居ないほうがかえっていい、というのがいるね」
「亡くなると急に会社が繁栄したりして…」
「錯覚なんだな。どう、こういうの」


ioriten.gif自分だけは偉いさ立派 哀しい末が待っている(47)
「本当に哀れな末なのよ。あたしなんかこれからだというのに」
「ほう、これからなの?」


ioriten.gif私ゃ七十まだ蕾なの 花を散らして見せてみて(48)
「ずうずしいもここまで来れば立派だな。姐さん脱帽です」


ioriten.gif凄いもんだな女の命 息絶え絶えでまだ蕾(49)
「そうよ、女は灰になるまで女です!」
「男は?」
「役に立たなきゃ、居ないも同じね」
「役立つまでか…」
タマが笑ってる。

2008年07月02日
刺激がほしい

RIMG0020-2.JPG                                    

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           
 
 
 
 
 
 
 
 
 

     

「姐さんこんばんわ。タマも変わりないわね」
「兵ちゃん、今夜はゆっくりしていってね」
「おひとつどうぞ」
「…旨い酒だなぁ」


ioriten.gif口に移したお酒の中に 浮気の虫が二匹いた(50)
「意味が深いなぁ。酒も甘いなぁ」
「好きなお方ならね」


ioriten.gif野暮なことでもあなたがすれば みんな絵になる華になる(51)
「絵になるか。今どきの人にはこれがないんだな」
「みんな同じようね。日本人の特色かもね」
「こんなのはどう?」


ioriten.gifもっと欲しいの刺激が欲しい 激辛カレーに唐辛子(52)
「それが、いいんだか悪いんだか?」
「人間は、あまり刺激がないほうがいいんじゃないの」
「ボクは刺激が欲しい。生ぬるいのはヤダね。寿司と同じでサビ入りでなくちゃ」
「だけど、激辛カレーに唐辛子じゃ、お尻に良くないわ」
「尻も積もれば山となる」
「…おバカさん。口に甘いほうがいいわね。ん…」


ioriten.gifくちづけしない思い出だけが ずっと私を抱きしめる(53)
「思い出が抱きしめる…。やさしい味がするなぁ」
「後味がいいでしょ」
「この辺が日本人の情緒だなぁ」
「無言の優しさっていうやつね」
「だけど激しい行為もなけりゃ寂しいね」
「この頃ひとりでパソコンにふけってる人多いんじゃない」
「独り遊びも悪くはないよ」


ioriten.gif犬は怖いし女は苦手 独り遊びが得意技(54)
「得意技はないんじゃない」
「わたしピンクのサウスポー…」
「何よそれって」
「フフフ…」
「兵ちゃんと、こうしていられるの幸せね」


ioriten.gifそれでも日本は素敵な国ね こうして都々逸できるもの(55)
「タマがもう一本っていってるよ」
「タマも刺激が欲しいのかしら?」

2008年07月06日
梅雨の月(英訳)

RIMG0017-2.JPG                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         
 
 
 
 
 
 
 
 
 

     

「こんばんわ。兵ちゃん今夜の浴衣姿は粋だわね」
「梅雨の合間はジットリするね」
「ジットリじゃなくてシットリね。おひとついかが?」
「今夜も月が見え隠れ…」


ioriten.gif逢えぬお人と二人になれば 何かありそな梅雨の月(56)
「姐さんいつもこれで口説くんだ」
「好みのお人ならね」
「お座敷帰りに送ってみれば…か?」


ioriten.gif路の角まで送ってみたら 離す指先濡れる頬(57)
「どうだい。こういうのにボクは参るんだよ」
「殿方の弱点ね。ところで、この頃何でも偽装だわね」
「まあ、人間はカツラや化粧とか、おしなべて偽装しながら生きてるけど」
「それにしてもテレビを点ければ、いい大人がぺこぺこ頭を下げてるわ」
「子どもによくないなぁ。頭の下げ方を教科に取り入れなきゃ」
「日本の良さをはき違えているかもね。どう、こんなの…」


ioriten.gif昔のおひとは公私を分けて 出処進退に花があり(58)
「出処進退ねぇ。死語になったなぁ」
「何しろ大人がカッコ悪いのよ。子どもは誰を尊敬するの?」
「両親しかいないらしい」
「それが問題なのよ」
「賞味期限が切れた大人は次代のことを良く考えたほうがいいな」
「そう? こんなの…」


ioriten.gif賞味期限をいってはダメよ 切れたとこから熟れるもの(59)
「姐さんのこと?」
「あたしゃこれからだと思ってるの!」
「いいけど…少し無理があるかもなぁ」
「この世に生のある限り、あたしゃ恋をしてたいの」
「よし、磯千代姐さんの気持ちになって…」


ioriten.gifかたいつぼみがいいとは言うが 熟れたメロンの甘いこと(60)
「兵ちゃん優しいのね」
「酒が旨いなぁ…」
「路の角まで送ってね、フフフ」
「タマがもっとやってろ、ていってるよ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


That moon in Baiu

“Good evening, Hyou-chan! Wow, how chic you in today’s 浴衣 (Yukata) are!”
“Thanks! But still, everyday is damp during Baiu…”
“The moon is seen off and on today.”


ioriten.gifOnce I and that lady with a past are alone in Baiu, something
     may happen under a moon.


“Oh, do you usually chat someone up like this?”
“If he is my type.”
“I can see your action when I walk you home after drinking.”


ioriten.gifWhen we stop walking together around the corner, I release 
      our hold and tears run down your cheek.


“How do you think? I’m fascinated with this situation.”
“A weak point of gentlemen. Well, our life is full of fake recently.”
“For example, wigs, makeup and so on…we usually camouflage everyday.”
“I know, but without truthfulness some adults bow many times on TV.”
“That is too bad for kids, so they need a lesson to apologize with sincerity in primary school.”
“Some may have a mistaken idea about good customs in Japan. How about this phrase?”


ioriten.gifIf they were early people, they would have decided on their
     next course of action without mixing public and private matters.


“Next course of action….Now it is already out of use.”
“You know some adults are so uncool. Who on earth can children respect?”
“Their parents only…maybe.”
“Um, critical!”
“Many retired people should consider for the coming generation.”
“Certainly. It’s my turn.”


ioriten.gifWhy do you note that deadline? Something expired is also  
     meaningful.


“a kind of …you?”
“No! I’m still young, right?”
“Oh…I can’t say anything.”
“No love, no life”
“Well, if I were you…”


ioriten.gifSome people like a sleeping bud, but I can’t forget sweetness
      of ripe melon.


“Nice, Hyou-chan.”
“Sake is yummy today.”
“Please attend to that corner…fufu”
“Tama says “still early!” What shall we do?”

(訳 あさのまみ)
                                          

2008年07月08日
世界のわっしょい

RIMG0007-2.JPG                                          

                                                             
                                     

                                                                                                                                                                                                                                                                                
 
 
 
 
 
 
 
 
 

     


「兵ちゃん今晩は。いつもお座敷かけて頂いてありがとう」
「ニャンりがとう」
「タマもお礼をいってるわ」
「今夜も都々逸で迫ってみようか」
「どうです、こんなの」


ioriten.gif恨みつらみは唄うと消える 都々逸の良さ気持ち良さ(61)
「そうだなあ。都々逸をやると別の世界に遊んでいるようだなぁ」
「気持ちいいもの」
「ニャンとに」
「タマも悶えてるね」
「そういえば、一時流行ったスローライフってやつ、今では誰もいわないね」
「みんな流行に弱いんだ」


ioriten.gifスローライフだエコライフよと 笑わせないでよエゴライフ(62)
「エゴライフっていいんじゃない。流行語にしたいね」
「サミットだか、ゴミットだか知らないけど。町内会の会合みたいね」
「そうだね。それぞれの事情がある家が集まってるみたいだな」
「どこかの大統領夫人が顔を見たくない女がいるって、一緒のバスに乗るのを拒否したそうよ」
「町内会によくある話と一緒だな」
「エゴライフの代表の集まりね」
「42年先の約束ができないなんて笑っちゃうな」
「みんな影も形もないのにね。一人ぐらいおこがましい人間に活を入れるくらいできないの」
「無理だね、エネルギーをジャブジャブ使うのに慣れちゃったから…」


ioriten.gif造り過ぎたの余計な物をあ がいてみてもゴミの中(63)
「そうなのね。無理して造り過ぎたのね」

ioriten.gifアメリカナイズされ過ぎたのよ 消費消費と笑わせる(64)
「大量消費民族の強さにもうそろそろノーをいう頃だな」
「世界中、日本の江戸時代みたいに鎖国をしてみるってのはどう?」
「いいかも知れないな。自国の文化が熟成するよ」
「石油なんてなくても昔の人は豊かに生きてきたのにね」
「他国を頼らずにやってみるといいんだ」
「頼ってあてにするから、援助がないって腹が立つ…」
「日本人にはいいかも」


ioriten.gif祭と形で後のちまでも 伝え伝えて粋なとこ(65)
「そうだな。祭りで明日を生きるか…」
「祭囃子が聞えてくるわね」
「また、血が騒ぐなぁ」


ioriten.gifそれでも日本は優れた御国 他の国にない和で染まる(66)
「タマがもうお祭り気分よ」
「日本のいいタマだなぁ」
「早く行こうニャン!」


2008年07月11日
蚊帳の中

RIMG0006-2.JPG
                                                             
                                     

                                                                                                                                                                                                                                                                                
 
 
 
 
 
 
 
 
 

     


「兵ちゃんいよいよお祭りね」
「いいなあ、ワッショイ! ワッショイ!」
「日本人が心をひとつにして輪になる瞬間ね」
「タマも疼くのかしら…。どう、こんなの」


ioriten.gif祭囃子が聞こえてくるよ 大和心が疼く夜(67)
「男どもが一番かがやく日だよなぁ」
「普段はしょんぼりしてるけど、惚れぼれするわね」
「女性も見違えるね。…ん」


ioriten.gif法被姿に手拭い立てて 粋なアネさん腰団扇(68)
「日本の夏だわね。それにしても日本人はお祭り好きね」
「全国で30万ほどの数があるようだよ」
「へー、何でなの」
「神様仏様、ご先祖さん、死んだオバアチャンたちに喜んでもらいたいからやるんだそうだ」
「へー、それでどうなるの?」
「自分が、今度は人間たちが励まされるんだね」
「神様たちと一緒になってるのね。それで力がでるのね」
「自分もいずれそっち側へ行くからね」
「日本人は素敵ねぇ。兵ちゃんやって!」


ioriten.gifわっしょいわっしょい神輿を担ぎゃ 和を背ぉうオノコになりにけり(69)
「それでみんな故郷に帰ってくるのね」
「和の中に浸れるからね」
「兵ちゃん、そういえば日本の夏には蚊帳があったわね」
「雷さんが来ると入ったね。良い風情だねぇ」


ioriten.gif蚊帳の中から月空見れば 扇ぐ団扇にかかる息(70)
「粋ねぇ。かかる息って、女の息? 何だかメスが燃えるわねー」
「ボクの家ではまだ使ってるよ。冷房ないからね」
「メスの蚊も季節感があっていいわねぇ」
「タマが笑ってるよ」


ioriten.gifタマを撫でてるあなたが憎い 私もタマも同じメス(71)
「お祭り気分だなぁ」
「兵ちゃん、今夜はお祭りにご一緒させて」
「タマが団扇で扇いでるよ」


2008年07月15日
歌舞音曲

RIMG0016-2.JPG

                                                                                                                                                                                                                                                                                
 
 
 
 
 
 
 
 
 

     


「兵ちゃん、こんばんは、暑くなってきたわね」
「夏らしくなったね」
「暑気払いに唄いましょうか」
「歌はやっぱり別れの歌に極まるね」


ioriten.gif別れたあとの切ないなかで 出会いの歌を唄ってる(72)
「それって立ち直りが早過ぎないか」
「いつまでもメソメソしてられないでしょ。物価も上がってるし」
「それにしても前向きだなぁ」
「どう、兵ちゃんも」


ioriten.gifディスコではしゃいで踊ってみたが 骨が硬そなタコ踊り(73)
「誰のこと? 兵ちゃんでしょう」
「モテてるって思ってた頃だ。鏡に映った男が妙にぎこちない」
「ホッ、ホホホホ、タコ踊りねぇ」
「今のヒップホップだなぁ、歳には勝てないな」
「昔、聞いたことがあるの」


ioriten.gifダラリの帯がディスコで舞えば 都おどりも色褪せる(74)
「情景が目に浮かぶなぁ。強烈な印象だと思うよ」
「日本の芸能には秘めたパワーがあるのよ」
「お祭りと歌舞音曲で暮らす大和の国だからよ」
「中でも都々逸は奥が深くて最高ね」
「いってみようか」


ioriten.gif粋の花だよ七七七五 心のヒダを見せる灯よ(75)
「そうね、みんな言うに言えないことがあるよね」
「自分はみんな正しくて、お前が変われ、って」
「お互いさまなのにね」
「言いたいことをいってろ、ってところだな」


ioriten.gif歌を唄って踊って舞って ほんに日本の粋なとこ(76)
「だけど、カラオケは味気がないわね」
「いいんじゃないの、今じゃ世界の文化だよ」
「味気のないのが玉にキズ」
「慣れてしまえば、違和感のないのが日本人の優れたとこかも」


ioriten.gif何のことなし明日もくると 思って唄ってあの世往き(77)
「常ならずか…諸行無常だなぁ」
「みんな昨日と変わっているのに気がつかないのよ」
「タマも変わってるかなぁ」
「変わらニャンいん!」

2008年07月19日
風鈴の音

hp-11.jpg
                                                                                                                                                                                   

                                                                                                                                                                                                                                                                                
 
 
 
 
 
 
 
 
 

     


                                                                                                                         「姐さん今晩は。この暑さにゃ参るね」
「夏は熱いほうがいいんじゃない。タマ元気出してね」
「タマが与太ってるよ」
「風鈴が涼しいわね。どう、こんなの」


ioriten.gif風に鈴だよ二つでひとつ 主に吹かれてなびく髪(78)
「なびく髪か。色気が漂うね」
「タマの鈴は鳴ったことがないわね」
「悪かったニャン」
「悪かったと言えば、この頃みんな偽装や悪さが目に付くわね」
「どっかの教育委員会ぐるみだな。この頃の世相にゃ何かが欠けてるな」
「兵ちゃん、やって」


ioriten.gif教育長も人の子なのよ 誰でもやれる悪さする(79)
「それにしても笑えないわね」
「仕事に志が無くなっているんだろうね」
「事に仕えてなんかないわね。いい大人が情けないね」


ioriten.gif情がないんだ情けがないの 子どもが真似する情けなさ(80)
「日本人は情で動いていると思っていたのに…」
「偏差値ってのが高いものほど情けが薄いな」
「どうして?」
「答えの出るものしか認めてこなかったからさ」
「味がないのね。頭が悪いのかしら」
「多分ね。『バカの壁』とかという本が売れたりするからね」
「風鈴で涼しくなる分けがないって考える野暮なお方ね」


ioriten.gif偏差値バカとはよく言ったもの 上には上がいるものよ(81)
「いちばん偏差値の高い人は誰かなぁ」
「多分、みんな自分だと思ってるよ」
「昭和に生きた人にはこんなのあったわ」


ioriten.gif心の蔵には心が宿る 一寸四方のその中に(82)
「心が宿るなんてシャレてるね」
「お洒落な方がいなくなったわね」


ioriten.gifみんな知ってる自分の弱さ 人に見せずに瘦せ我慢(83)
「お洒落って瘦せ我慢なのね」
「タマがそうだ!っていってるよ」

2008年07月23日
白と黒

hp-12.jpg
                                                                                                                                                                                   

                                                                                                                                                                                                                                                                                
 
 
 
 
 
 
 
 
 

     


                                                                                                                         


「兵ちゃん、今夜は上布でオシャレだわ」
「ボクは角帯より兵児帯が好きでね」
「絞りが粋ね。どう、おひとつ」
「冷酒が旨いね。肴は京風のハモか」
「梅雨が明けたら一斉に蝉が鳴き出したわね。こんなのどう?」


ioriten.gif待っていたのよこの日の来るの 縋り切ない蝉の声(84)
「蝉は一週間の命というが、実際は一ヶ月位だそうだ」
「幼虫で10年ほど地中生活するっていうから長命ね」
「猛り狂って鳴くのも分かる」
「アタシも狂って泣いてるわ」
「姐さんは男とお金にね…」
「イヤなお人。遺伝子が悪いのよ」


ioriten.gifみんなアタシが悪いと言うが 悪い奴だよ遺伝子は(85)
「いいね、DNAのせいにすると気が楽だね」
「兵ちゃんやって」
「古い都々逸にこんなのがあるよ」


ioriten.gif恋に焦がれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす(86)
「泣きわめく女がいいか、泣かない女がいいか・・・・・・」
「昔の男の女性観が出てるね」
「兵ちゃんはどちらがお好み?」
「ウーン、程々がいいなあ」
「でも今じゃ男のことよ。逆転してるのよ」
「タマが薄笑いしてるよ」


ioriten.gifあんなに惚れてた思い出さえも 高いオナラの音で消え(87)
「恋も一瞬ね。でも、何時でもしていたいものね」
「妄想が現実を創る元だから、何時でもしていられるのが恋だよ」
「兵ちゃんのは変な妄想じゃないの?」
「ボクのは清らな空想だなあ」
「タマの水着姿なんて空想してるんじゃないの」


ioriten.gif言っちゃいけない本当のことは 言った途端に咬みつかれ(88)
「人間ホントのことは言わぬが花ね」
「日本人のいいところに『惻隠の情』ってのがあるよ」
「そうだわね。思いやりね」
「この頃はコンピューターのお蔭で、何でも白黒つけなきゃきが済まぬって」
「グレーゾーンが意味深長で素敵なのにね」
「親がしっかりしていかないと、白と黒だけの世界になっちゃう」
「どうすりゃいいの?」
「…って私は考えた。というものの言い方はどうかな。私の考えはあなたと違うと思いますが…」
「断定しないのね」
「百人いれば百人が違う人だからね」
「でも兵ちゃん、みんな同じじゃないかって思うこともあるわ」


ioriten.gif深夜電車に乗りうかがえば みんな携帯いじってる(89)
「いじりたいんだよなあ。みんな寂しんだよ」
「どっかで繋がっていたいのね」
「今夜もいい月だね」
「タマが着替えてきたようよ」
「おお……」

2008年07月28日
大人の所為

neko-7-28.jpg                                                                                                                      

                                                                                                                                                                                                                                                                                
 
 
 
 
 
 
 
 
 

     


                                                                                                                         


「兵ちゃんこんばんは、今夜もお座敷かけて頂きありがとう」
「磯千代姐さん、今夜は妖艶だねえ」
「兵ちゃんにお会いできると思って薄化粧してきたの」
「それが、薄化粧?」
「そうよ、目の縁がはっきりしてるでしょう」
「青黒縁だね…」
「こんなのどう?」


ioriten.gif蓮が開いた泥田の中に 粋な仏が目で招く(90)
「蓮の台に仏がござる。粋な仏が目で招くか…。観音さまかな」
「それにしても、この頃人を殺める事件が多いわね」
「心の底からこすりあっていないから疎外感が強いんだよ」
「もうちょっと辛抱してくれたらいいのにね」
「いってみようか」

ioriten.gif思い通りにいかないことが 優しくなれる元なのよ(91)
「ここに気が付いてくれるといいんだが…」
「それにしても人間様は獰猛ね」
「生きものの中で、チンパンジーと人間は獰猛さでは群を抜いてるそうだ」


ioriten.gif昔はヒトを食べてた奴が 今じゃ石油を飲んでいる(92)
「物価高もこれが原因ね。人喰いは日本人にはなかった風習ね」
「アフリカや西洋人の遺伝子が色濃く残っているんじゃないか」
「そういえば、アフリカでは虐殺が絶えないわね」
「太古の時代から続いてる」


ioriten.gif赤い口紅べったりつけて 滴るビフテキ喰っている(93)
「貴婦人が血の滴る牛を喰ってる…」
「兵ちゃん、今はセレブっていうのよ。女だってお肉食べるわよ」
「目の前で牛を切り刻んだら食べるかな?」
「日本人には無理かもね」


ioriten.gifこの世で一番獰猛なのは ヒトと名のつく生きものさ(94)
「この物価高はいいね。自分の背丈にあった生活をするようになるからね」
「無理をしてるのよ。マスコミに踊らされて消費過多に陥ってるわ」
「ボクは早く石油がなくなるといい、と思ってるね」
「日本人の出番ね。中国やインドの華僑や印僑の人達はお金が中心でしょ」
「いずれ日本人の素晴らしさが解かる時がくるよ」


ioriten.gifお金でカタがつくのは少し 情けでひとは生きるもの(95)
「日本人のことね。お金稼いで、それでどうするっていうのかしら」
「子どもたちが敬うひとがいなくなるね」
「なぜそうなるのかしら」
「生きてく姿がケガレているからじゃないかな」
「罪ではなくてケガレねぇ」


ioriten.gif畏れ敬うことすらできぬ 出来ぬ大人の所為(せい)だもの(96)
「大人がちゃんと大人をしてないわね」
「頭が変に良すぎてきたからだね。目先と小細工だけになる…」
「タマが・・・瞑想しながら頷いているわよ」
「下弦の月も暑そうだな…」
「夏は暑いほうがいいわ」


2008年07月30日
夕立

hp-13-1.jpg

                                                                                                                      

                                                                                                                                                                                                                                                                                
 
 
 
 
 
 
 
 
 

     


                                                                                                                         


「兵ちゃん今晩は。タマも変わりないね」
「ゴロニャーン」
「姐さん、今日はズラ着きだね。さすが名妓だね」
「兵ちゃん、今日は冷たいビールね」
「この暑さは応えるね。昼間歩くと、まるで炎が脊中から追いかけてくるようだよ」
「夏は炎のように燃えるものよ。時折夕立もありますけど」
「こんなのどう?」


ioriten.gif夕立がザット降るほど浮き名は立てど 只の一度も濡れはせず(97)
「古典都々逸ね。粋な文句だわねぇ」
「浮き名って噂のことだけど、今のフォーカスみたいなエゲツなさはなかったな」
「そうね、マスコミが世の中を牛耳っているようね」
「情報が早ければお金になるからね」
「でも、すぐに忘れるわ。秋葉原の事件なんて、もう誰も話題に出さないわ」
「忘れることもひとつの才能かも知れないね」
「哀しいけれど、人間はずっと同じ過ちを繰り返すのね」


ioriten.gif二度と起こさぬ浮気の虫は「ホント?」ん、言った先から目を覚ます(98)
「兵ちゃんのことじゃないの」
「タマが呻いてるよ」
「いつの世も女が実権を握ってるわ。女を見れば男が分かる」
「逆じゃないのか?」
「この頃、若い夫婦がもめる種は…ん、」


ioriten.gif私だけ見つめていると言ってたくせに 見つめてるさき義母の顔(99)
「男児は押しなべてマザコンだからな」
「それにしても永遠のもめるテーマね」
「嫁さんだっていずれそうなるのにね」
「哀しいけれど、同じ過ちを繰り返す…」


ioriten.gif私の操をよろめかせたに 何で手足が出せないの(100)
「ミサオって言葉、今あるの? 磯千代姐さん、ボクのことじゃないよね」
「かもよ」
「ボクはもう、全身硬直状態だよ」
「ウソおっしゃい!」


ioriten.gif嘘をつくなと怒鳴っちゃだめよ カツラ着けてるあなたでしょ(101)
「一本取られたわね。兵ちゃん素敵!」
「人はみんな自分の都合で生きてるのに、それが分からないんだなあ」
「それで笑うことも泣くこともあるのよ」
「タマがまた着替えにいったみたいだよ」
「もう、お座敷を出て行く仕草で分かるのね」
「確か、井伊大老が唄った都々逸があったな」
「こういうのね」


ioriten.gif逢うて別れて別れて逢うて「泣くも笑うもあとやさき」 末は野の風 秋の風
     一期一会の 別れかな(102)
「茶湯一会集の中にあるやつだね。都々逸は奥行きがあるねぇ」
「兵ちゃん、またお座敷かけて下さいな」
「うん、秋の風が吹く前にね」
「ネエ、タマが一緒に歩けっていってるわよ」
「夏休みだ、一緒に行こうニャン」
「おお…ノー、猫にも衣装!」
「もうすぐ新月ね」