新之介文庫だより

2018年3月28日
近詠・句歌都々逸21

 

それぞれに 見える景色や 富士の嶺

 

往くまでは 生きてるはずと 裡の声

 

人工知能がこの世を仕切る 量産できぬかドラえもん

 

色気ロボット作っておくれ 主はこの頃意気地なし

 

「辞世ね・・」悔いも無ければお金も無いが 恋の未練が邪魔をする

 

恋の恨みは消しても消えぬ 主と添うまで暮らすまで

 

明日も分からぬ老少不定 恋の成就をただ急げ

 

ただ喰らう 激しい汗か 肉の宴

 

夕映えの 腰を抱えて 咆哮す

 

誰も迎える 年寄りモード それが嫌なら早く往け

 

神の名前も知らないくせに 頼み事するもどかしさ

 

春の日の 咥え呑む眸や 恋墜ちる

 

立ち止まる 野仏母か 掌を合わす

 

座禅組み 師の道筋を 辿りゆく

 

色気なければ役には立たぬ できぬかAI色事師

 

人類の 進化や孫等に また繋ぐ 健やかにあれ 明日も未来も

 

彼氏できたしマンションも買えた そろそろ貴方と別れよか

 

恋の成就を迫ってみたが ダメよダメよで早二年

 

大津波 来るのか富士の 高根まで

 

AIに 未来を託す 木偶の坊

 

 

2018年3月28日

2018年3月17日
近詠・句歌都々逸20

 

湯を浴びて 設計の妙 得りにけり

 

設計を 解らぬままに 蒼穹(そら)の色

 

責任の ない設計の 味気なく

 

設計の 楽しさ会い 逢いに行く

 

発想は ひとつか設計 謎だらけ

 

設計の 悔しさに耐え 月を観る

 

息詰まる 設計の果て 湯気や立つ

 

設計の 淋しさに耐え 花を挿す

 

人生は 設計の是非 繰り返し

 

設計は 親の歳まで なぞる夢

 

切なさや 設計野に在る 仏かな

 

設計の 切なさに遭い 野を歩く

 

スクワット 設計図観る 前準備

 

設計の 淋しさに耐え 脚を揉む

 

始まれば 設計と共に 足洗い

 

設計は 恋の季節や 胸躍る

 

時雨にも 設計絶えず 進みけり

 

月の海 設計図にも 移しけり

 

設計は 集まる者の すがたなる

 

君に会う 設計の中 恋時雨

 

 

句集『千々繚乱』より

 

2018年3月17日

2018年3月6日
近詠・句歌都々逸19

 

今までは 良しとするかと 天の声

 

是非もなし 芽吹く桜に 明日を見る

 

皆同じ 一切皆苦 釈迦の前

 

寒空に 孫の手のひら 暖かく

 

大空の 飛行機雲の一筋に 我が道を観る 富士も雪解け

 

楽しみは 思わぬ先の 巡り会い 輪廻転生あるも なくても

 

いつまでも 恋歌詠う 七十三

 

都々逸に 託した色や 桜花

 

人のえにしの細さに泣いて 君の太さに癒される

 

仮想通貨じゃ 気持ちが悪い 持てぬ触れぬじゃ 濡れはせぬ

 

歳をとったと思わぬけれど 脳もあちらも軟化症

 

「あらヤダって」言ってたはずよ 何で迫るの「うふふ、ああ、ダメ!」

 

いま春の 逢瀬を待つか 冬の月

 

いつまでも 解らぬ道や 福寿草

 

老境は 一片の月 街の角

 

少年に青山有りと教えしは 部活の師なり雪に旅立つ

 

寂しさは春の雨降る窓辺かな 人の命の儚さを聴く

 

書を書いて 今ココを識る 寒椿

 

大雪や 富士も思わず 厚化粧

 

我が道は 吹雪碧天 繰り返し

 

 

写真:カアバ神殿の木扉(オスマン朝・1635年)

 

2018年3月6日

2018年2月20日
東南アジアの古陶磁考-3

 

2017年6月に「東南アジアの古陶磁考-1」の一文を、7月には「―2」を『新之介文庫だより』に投稿した。

「―1」では「謎の山脈」タイ北西部のタノントンチャイ山脈を。
「―2」では発掘しているタノントンチャイ山脈の少数民族の実態を書いた。

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はじめに
1998年から2000年にかけて四度タイに渡航した。
主たる目的は、タイ北西部のタノントンチャイ山脈から出土するやきものに会うためだ。子供の頃からやきものに興味を持ち、この頃、茶事をするようになって自分でも作陶をするようになっていた。
仕事柄、文様に関心が高く、古代の文物や絵画から行き着いた先が中国元の染付磁器に描かれた文様だった。建築彫刻における龍や鳳凰などの絵画的原点がそこにあった。
そして縁あって元の染付が出土するというタイの山奥へ。
出土するものは想像を超え、目を疑うものばかり。しかし、眼前には優れたとしか言えない美術品が・・・。
故あって先年、『東南アジアに渡った・元明のやきもの』(2003年里文出版刊)を上梓した。
また再び出土品を分類整理し、その真とするところを記して、世に出すことになった。このシリーズは、私のやきもの遍歴ということになりそうだ。
(6月投稿「東南アジアの古陶磁考―1」より)

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今回の「―3」は、実際の発掘現場で立ち会った記録を書いてみたい。
何時の日かこれらの記録を整理して、『東南アジアのやきもの』というタイトルで出版したいと思っている。
オークションに出品した作品は所有者の了解を得て、本に掲載させて頂く予定にしている。

2000年の9月にタイに渡り、数回目の発掘現場に立ち会った。
場所はチェンラーイ近郊の山中である。
ミャンマー(ビルマ)白釉緑彩の大壷類(15~16世紀)と、中国元代の青花龍文耳付大壷(13~14世紀)の出土に立ち会うことができた。

白釉緑彩の大壷には青銅の器、元青花大壷には明代の古染付碗が数点入っていた。
他にも緑彩の碗、大皿や燭台、元から明にかけての青花磁器類が出土した。

これらを得てから約10年かけて研究してきたものは、いずれ上梓したいと考えている。きっと、東洋における陶磁史に新たな1ページが加わるのではないかと思っている。

研究は旧論文や文献だけでなく、実物資料に勝るものはなく、発掘がいくつもの歴史を塗り変えて行くのは、論より証拠と思う。
10年かけて収集した陶磁器類は数百点。収集の方法は同種のデザインのもの約10点ずつ。美術館に展示されている1、2点では良くわからないのと納得が行かないことによる。建築文様の研究から始まった陶磁器類は何時の間にか研究対象となってしまった。

益々興味が募っている。

写真:上 ミャンマー白釉緑彩大壷の出土

上-2 山岳民族の娘

中  発掘立ち会い

中-2 白釉緑彩大壷の中身の取り出し

中-3 元・青花龍文大壷の出土

下  元・青花龍文大壷の中身の取り出し

 

 

 

2018年2月20日

2018年2月11日
近詠・句歌都々逸18

 

老少を 定めぬ雪は 降り積もる

 

寂しさは 音なき夜の 雪明かり

 

心まで 凍るか雪降る 葬りあと

 

ひとは逝き いずれは我もと 風の音

 

都会の大雪 誰もがトホホ 行方不明の 主ゃいずこ

 

イタリアンブーツも 役には立たぬ 滑り転んで 後遺症

 

肌を寄せ合い 寒さを凌ぐ 主が恋しい この夜だけ

 

春立ちて 木々の芽吹きの いや増して 花を待つ身の 今朝の嬉しさ

 

風吹けば 黄泉の声かと 耳たてる

 

立春や 富士の化粧の 艶めかし

 

ただ熱き 思い頼りの 春立ちぬ

 

沸々と 熱い望みや 春淡し

 

構想は 堰を切ったか 雪の夜

 

都会の大雪 厄介至極 滑る転ぶし 尻はアザ

 

粋なお方と 思っていたが 何故か今夜の 野暮なこと

 

寒い漏れるわ 濡れるわ染みる 雪に描こうか 放ち痕

 

人のえにしの 細さに泣いて 君の太さに 癒される

 

何処までか 雪幻に 隠しけり

 

彼の女に 唐織の帯 雪の夜

 

図を描いて 己に聴かす 子守唄

 

 

 

2018年2月11日

2018年1月31日
月華の海

新之介文庫の河嶋です。

11月に電子出版いたしました「知音」に続き、
Amazon.co.jpより、kindle版にて太田先生の小説を発刊いたしました!

 

新之介文庫
小説 『月華の海(げっかのうみ)』 太田新之介著
Kindle版 ◎http://amzn.asia/ft2oTuR

 

太田先生とのご縁をいただいて、最初に読ませていただいたのがこの「月華の海」でした。

北島千波は日本の伝統の上にたち、新しい和のデザインができる建築家として将来を嘱望されていた。その得意の絶頂の中、鎌倉・福興禅寺の住職より、茶室設計の依頼を受ける。

今までに誰も作ったことのないような新様式の茶室を作ってほしいと望まれたとき、千波は自分の無知・無力さに突き落とされる。

『茶事を知らぬものに茶室は作れない。』

今まで自身が設計をしてきた建築物は本物であったのか。
そうして彼女はこれまで自身の輝きとして身に纏ってきたすべてを捨て、建築家・谷一宇のもとで改めて福興禅寺の茶室建築に向き合うこととなる。

千波は谷のエネルギーの渦に引き寄せられる様々な人物と出会う中、日本人が培ってきた上質の文化に浸り、次第に伝統の持つ瑞々しいエネルギーや茶の湯の美と深い精神性に染まっていくのだった。

 

自らも茶室を造営し、二百回余の茶事・茶会を催す、
伝統に根ざした新時代の木の建築づくりに取り組んできた太田新之介が描く、新様式の茶室とは。

茶事とは。
日本の伝統建築とは。

 

太田新之介にしか描けないこだわりが随所に込められています。

 

一人でも多くの皆様のお手元に届きますよう、願っています。

 

 

ご購入方法
Kindle版 『月華の海』(新之介文庫)
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新之介文庫では、電子書籍として発刊予定のお知らせをしておりましたタイトルを続々と出版予定です。
どうぞ、ご期待ください。

 

2018年1月31日

2018年1月26日
近詠・句歌都々逸17

 

例えれば 東の光 春の夢 木々の芽吹きの 増すや嬉しき

 

今ココに ひとり立つ身の 健やかさ

 

夜の空 だあれもいない 金曜日

 

我が友は スケッチブック 春の風

 

鉛筆の 黒きを好む 月明り

 

人見知り かくも治らぬ 炬燵かな

 

若い女子を見る目が変よ 何処を見てるのド近眼

 

「老々介護ってネ」ボケてしまえば苦労はないに 骨の始末もワシゃ知らね

 

ボケた証拠かセリフが何時も「昔ゃ良かった」って 言った途端にまた「昔ゃ」

 

視力落ちたらアバタもエクボ 見えぬ見えぬとすぐ触る

 

ジジイ威張るなババアも黙れ 介護しないぞ早くイケ

 

バブル熱 去年のダンスに 蒸し返す

 

神の名前も知らないくせに 頼み事するもどかしさ

 

夜の帳が降りてる頃に 恋も始まるドンド焼

 

神の炎に焼かれる札に 願をかけたり縋ったり

 

「美しい十代・・ネ」主と歌った青春ソング 今じゃ老人ボケソング

 

「今でもネ」美空ひばりと島倉千代子 歌を聴いては手を叩く

 

お酒カラオケあたしは嫌い 何時も割り勘で歌わせぬ

 

明日も分からぬ老少不定 恋の成就をただ急げ

 

 

2018年1月26日

2018年1月17日
近詠・句歌都々逸16

 

月観れば 影も悴む 指の先

 

恋ひとつどこまで続く闇の路 絶えて変わらぬ人の命は

 

禅僧の便りが絶える春の雪 あの時の貌あの時の聲

 

この春に始めることのあれこれは  同行二人古人に連れ立つ

 

プリプリの 乳房懐かし 夏の夢

 

老いの果て 誰も隔てぬ 黄泉の旅

 

何度でも 応える肌に 月あかり

 

色気叔母は ビールを飲んで 九十六

 

正月や 今ココを観る 寿老人

 

恋の恨みは消しても消えぬ  主と添うまで暮らすまで

 

「ダンシングヒーローって・・・」歌を唄って昔を偲びゃ 腰を痛めてヒローする

 

「昔ゃネ・・」歩く不倫と言われていたが 今じゃ徘徊認知症

 

皆ひとり歳を重ねて旅に出る 老いて往くなら言うことはなし

 

イヤだイヤだといってはいたが「気がつくとネ」 気持ち吉野の山桜

 

青春は 汗に塗れる 多淫かな

 

柔肌を 染めて恥じらう 雪夜の湯

 

皆誰も頼りなき身の世迷言 したり顔してまた明日へと

 

色気なき貌を眺めて髭を剃る 小寒の朝未だ籠りぬ

 

黄昏の 銀座の唄に 寒時雨

 

ホコ天の 冬人もなし アスファルト

 

 

 

2018年1月17日

2018年1月11日
近詠・句歌都々逸15

 

賀状見て 逢いたき人と 交歓す

 

戌年に 託せるものの 無きを識る

 

5日寝て 年始の客を 払いけり

 

熱と咳 どこまで続く 桃源郷

 

うなされて 話す相手は 歳の神

 

グズグズと 動かぬ手脚 三が日

 

初夢や 咳に紛れた 銀世界

 

木を伐って 使い造って二万年 我の記憶に すがた・かたちが

 

「辞世ね・・」悔いも無ければお金も無いが 恋の未練が邪魔をする

 

人は皆 それぞれを生きる隔てなく 空を観じず 生きるのも空

 

そのままで いいと誰か 裡の声

 

勿体つけてもアナタはダメよ 色即是空は色の道

 

一年の 疲れを溶かす 寝正月

 

主の速さにアタシは惑う 行くも帰るもリニヤ並み

 

あの仕草 我を彩る 景色かな

 

その内に 思うばかりで時は過ぎ 月の出汐を待つ 年も暮

 

会えるものなら会うてもみたい  時を戻してくれるなら

 

穏やかな  年の始めの 富士の根に 我が志 告げて祈りぬ

 

除夜の鐘聴き煩悩払い 明けた朝からまた積る

 

それぞれに 見える景色や 富士の嶺

 

待たせ焦らせて想いを煽る 募る憎さは主のせい

 

大雪や 炬燵の中の 淡い恋

 

大衆の 中に風吹く 寂しけり

 

 

写真: 小野田雪堂 讃  太田新之介 画

 

 

2018年1月11日

2017年12月30日
近詠・句歌都々逸14

 

明る過ぎ 眠れぬ冬の 月明り

 

満月に 何も願わぬ 星の屑

 

彼の人を 思えば円 月明り

 

多忙にも 健やかに在る 年の暮れ

 

我もまた 宇宙なりけり 六次元

 

枯れるまで 生きるか 今朝の霜柱

 

好きなことして生きてる主に 老いを知らせる初日の出

 

どうなるかわからぬ明日に気を揉まず 首でも揉んで明日は明日に

 

皆同じ時間を生きる仲間たち 信じ切れれば 障ることなし

 

貧すれば 鈍すか 落ちる白椿

 

人生は いと面白し 冬籠り

 

年の瀬や 思わぬ福に 巡り会う

 

不思議なり 思うがままの 暦尾かな

 

囁けば 星まで届く 冬凛々

 

惚れた素振りも見せないくせに 側に近寄りゃ直ぐ迫る

 

金は出来たしマンション買えた そろそろ貴方と別れよか

 

この四季は目まぐるしくも冴えにけり 我は誰ぞとぼんやりとして

 

会わぬ人 会えぬ人とも 増え行きて これも定めと 賽銭を投ぐ

 

煩悩は 払えぬまでも 百八つ

 

除夜の鐘 打ちに来ぬかと 誰の声

 

写真:干支は酉から戌へ 木目込み人形制作は友人浅井真美さんのお母さん
「毎年有難うございます」

 

 

 

2017年12月30日