日本のすがた・かたち

2009年09月05日
君が代

HP-225.jpg見えぬれど心かたちを秘めそえて
和みを見せる人のありせば


「君が代」は古今和歌集に載った和歌から作られた国歌です。

オリンピックやスポーツの国際大会でメダルを獲得すると国旗が掲揚されます。その時その国の選手の栄誉を称えて国家が斉唱されます。


日本国歌の歌詞は平安時代の古今和歌集第7巻『賀歌』(作者題名不明)から採られたもので、多分、世界で最も古い歴史を有する国歌歌詞だと思われます。

その歌詞の初出は、明治21年(1881年)国が編集した『小学唱歌集初編』に載っているものですが、現在のものより長く、あまり知られていない幻の2番が存在します。
曲はイギリスの古い讃美歌から採られ、後に雅楽奏者の「林広守」が作り直し、その後、ドイツの音楽家が洋楽の和音を入れて現在のものになりました。


1番
君が代は千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで  うごきなく常盤かきはにかぎりもあらじ

2番
君が代は千尋の底のさざれ石の鵜のゐる磯とあらはるゝまで  かぎりなき御世の栄をほぎたてまつる


2番は藤原頼政が詠んだ和歌です。「日本国民が平和でありますように ずっとずっと 小石が鵜のいる磯になり 海面に現れるまで」というような大意です。頼政は源氏一門でしたが当代一級の歌人で、鵺(ぬえ)退治で有名な武人でもありました。

約千年前の歌を歌う国民の奥深さ、それも西洋の曲を取り入れての国歌。国同士の戦いに登場する歌の源流が、平安時代の和歌にあると思うと、それを定めた頃の時代背景はともかく、日本人の深遠さを思います。

落葉が小枝に別れを告げ始めめた昼下がり。
子どもたちはきっとこの奥深さを感受してくれるだろう。
そう思いました。


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2009年09月19日
美しさの比率

IMG.jpg
数をして森羅のすがた見しわれは
夢のかたちを宙(そら)に描くかな


西洋で生まれた美の比率を「黄金比」、日本人好みの美の比率を「白銀比」と呼びます。


古代ギリシャの知性プラトンが活躍した時代に、美しいものの比率として黄金比が生まれました。この比率はエウドクソスが考え、彫刻家のペイディアスが初めてこれを用いたといわれています。

イタリアのレオナルド・ダ・ビンチもこれを発見し、名付けたとの記録も残っていますが、一般に広まったのは近代に入ってからの20世紀からで、記号のΦ(ファイ)はペイディアスの頭文字から採っています。

黄金比という用語が文献上に初めて登場したのは1830年頃で、日本でいえば江戸時代末期に当たりますが、我が国に入ってきたのは室町の頃ではないかといわれています。
一方、日本には古く法隆寺の時代から白銀比という比率がありました。その名残は大工道具の曲尺(さしがね)の裏側の目盛の1:√2にあります。


統計によると日本人の好む形は円、正方形、1:2の矩形、それに1:√2の比率をもった図形のようです。
それは古墳の円方や和紙の寸法、木造建築の木割(きわり)の技法などに多用され、コピー用紙のA判、B判といわれる用紙サイズにも白銀比が使われています。面積1㎡で、幅と長さの比を1対√2になるように求めたのがA判で、同様に面積1、5㎡から求めたのがB判です。

その他、絵画の構図、生け花の三角形の構図や抹茶茶碗のフォルム、作庭の樹木の配置や高さのバランスなどに多用され、日本人の美の比率として生き続けています。


近年、ヒトのDNAの二重螺旋が発見され、その波の寸法比も黄金比であることが分かりました。また自然界にはヒマワリの花の種が螺旋状に並び、オウム貝や、宇宙に目をやれば銀河の渦を上から見ると黄金比螺旋を描いているとのことです。
また最近、黄金比や白銀比が生命誕生から自然界に存在する万物までをコントロールする究極の比率として研究され、宇宙の意志である森羅万象をコントロールしているのではないか、という説がでています。そして、その基は「数」であり、それは科学で説明できるといっています。


黄金比(西洋)と白銀比(東洋)による美の差異はどこからきているのか。興味をそそられるところですが、私は風土の違いからではないかと見ています。古くから東西の美しさの比率を使い分ける日本人の血の中には、多様な優美さを具え、かつ繊細な美的感覚が滔々と流れているようです。

それは、先人が営々と伝えてきた「日本人の美の基準」なのかも知れません。


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